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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
バーミンガムを目前にしたあの空前の渋滞がなければ、本当はストーク・オン・トレントにちょっと立ち寄るつもりだった。
10年も前のことだが。 朝早めにオックスフォードを出発し、M40にのってストラットフォード辺りまでは順調に走れたが、バーミンガムの南で突然渋滞が始まり、車の列はいっかな動かない。 数時間後、やっとM42に入って、M6に合流し、バーミンガムを迂回する頃には、すでに予定時間を大幅にオーバーしていた。 目指すチェスターまではまだ2時間はかかる。 チェスターのグロブナーホテルには、午後五時の約束でコンバテックの研究所長が待ちかねている筈だ。 僕は涙をのんで、バーミンガムとチェスターの中間点のストーク・オン・トレントを素通りした。 なぜそんなにこだわるの? そこがイギリスの焼き物の産地で、ウェッジウッド、ミントン、ロイヤルドールトンなど、名だたる窯が参集しているからである。 確か夏樹静子の「わが郷愁のマリアンヌ」はイギリスの老舗窯元を舞台にしたミステリーで、ストーク・オン・トレントだけでなく、湖水地方やテムズの上流のイギリス最古の旅籠屋イー・オールド・ベルも出てきたように思う。 あの小説はプロットも面白く、現地の取材も自身で足を運んだようだが、ただ一つ気になることがあった。 それは湖水地方の中心の町、Keswickをケズウィックと記していることである。土地の人はあえてwを発音せず、ケズィックと呼ぶのが習わしだからだ。 ちなみにこういう僕の余計なひと言は配偶者の語彙ではぺダンティック(衒学的)というそうだ。 まあしょうがないや、また来ればいいとあっさりとあきらめて、その時はコンバテックの研究所見学と、ウェールズの名城カナーフォンの観光にとどめておいた。 その後配偶者が陶器の絵付けを習い始め、マイセンを筆頭にどこを旅しても窯元があれば尋ねるようになり、ストーク・オン・トレントは次回の英国旅行の際のマストの一つになっていた。 そのウェッジウッドが倒産した、と昨日のニュースで報じられた。最近の経済危機のあおりである。しかもトラブルはウェッジウッドだけではなさそうだ。 GMといい、バッドワイザーといい、栄枯盛衰は世の習いと言えばそれまでだが、キャデラックやビールはともかく、あのウェッジウッドの気品ある作品が姿を消し、ストーク・オン・トレントの名窯の火が消えてしまうのはいかにも悲しいことだ。 誰か助けてくれるだろうか?
by n_shioya
| 2009-01-06 23:01
| コーヒーブレーク
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Comments(3)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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