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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
悪魔の飽食
数日前、次男一家とともにすし屋に行った。
二人の孫は高校生と大学生である。
育ち盛りで、食べっぷりはまことに頼もしい。
ここの店はまことに良心的で、カウンター席で好きなだけつまんでも、あまり懐が痛まない。

僕は早々に降参して、汁を頼んだ。ここのあら汁はお椀がおおきく具がたっぷりなので気に入っている。
丹念に身をほじって骨までしゃぶっていると、孫の一人が “それ、ダシじゃないの”と怪訝そうである。よほど行儀が悪いと思ったのだろう。
“そうだ君等はなあ、ひもじい思いをしたことがないからなあ。”
と、皆が白けるのを承知で、戦時中の食糧難、いや飢え死に寸前の話を始めた。

戦争末期、もう米などまともな食糧はない。ドブのわきの雑草まで食べて生き延びた時代である。さなぎの粉など食わされたこともある。
大豆が配給になればそれだけで食いつなぐ。一粒一粒数えながら口の中でゆっくりと噛んで長持ちさせる。
ある時どうした手ずるでか、魚が一匹手に入った。そのころのしきたりで、このような場合、年長者のお爺さんだけが口にできる。孫の僕はその前にじっと座り、爺さんの食べ残した魚の骨を夢中でしゃぶった、という話である。

こういうこともあったが、食事の場なので話すのは遠慮した。
当時はみなだらけである。
もう石鹸は手に入らないし、ただいくら洗っても退治は出来ない。下着はゆでればいいが、頭虱はそうはいかない。
当時我々の世話をしてくれていた叔母が、あまりにも頭のを嫌がるので、子供たちが指で一匹、一匹つぶしてあげたものである。
蚤のように飛び回らないので、虱を捕まえるのは楽である。両方の親指の間に挟んでつぶす。その時プチュッと音がする。すると叔母が件の大豆を一粒くれる。
今となっては懐かしい思い出だ。

よく我々世代は、駅弁のふたについた飯粒から食べ始めるとからかわれるが、いまでも出されたものはただの一粒も残せない。だからメタボのコントロールが難しい、と言い訳するつもりはないが。

それにしても今は無駄が多い。デパートの地下に閉店間際に行くと、売れ残った食品が山積みになっている。値下げしてもそうは売れてないようだ。あの残りは、衛生上ほとんど破棄されるという。
その間にも世界のどこかでは、子供たちがどんどん飢え死にをしていくというのに。
その一方では、肥満を気にして、吸収阻害剤を飲んだり、脂肪吸引をしたり、挙句には腸を切除、バイパスして消化不良で対処しようとする。あさましい限りだ。「悪魔の飽食」とはこのことだろう。

肥満対策」は簡単ですよ。カロリー制限をすればよい。しかも最近の研究では長寿につながるという。
こんないいことはないのに、それ守れないのが人間である、少なくも僕自身は。

そこでこう考えた。
ともかく実行可能な奴だけでグループを作り、腹八分を守り、摂取量を2,3割減らす。その浮いた分をお金に換算し、それを基金とし、アフリカでもアジアでも食糧危機のあるところを、ささやかながら援助する。
つまり自分のためだけでなく、「人助け」をモチベーションにする。

一石二鳥のいいアイデアじゃない?”
僕はカロリーリストリクション(CR)の会長に言った。
“ダメ、ダメ。CRはそんな甘いもんじゃない。あのメニューは普通食よりもっともっと金がかかるんだ”と会長は冷たい。
駄目だなあ、そんな考えでは。と僕は思った。
だからアンチエイジングは何時までも胡散臭く思われてしまうのではないかと。
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by n_shioya | 2009-01-07 22:53 | 食生活 | Comments(6)
Commented by valkyries at 2009-01-07 23:19 x
先生、いつも不思議に思うのは、日本人は戦中・戦後に殆どの人々が先生のような体験をした筈なのに、その下の世代に食糧の大事さが受け継がれなかった事です。何故なのでしょうね?
Commented by ruhiginoue at 2009-01-08 10:49
 医学の責任はどうでしょうか。
 岩波書店から『DDT革命』という本が出ています。
 これはGHQの高官だったCFサムス軍医の回顧録ですが、シラミだらけだった敗戦国日本にDDTを散布し、栄養状態の向上のため、蒙昧な日本人を啓発し、迷信から解放してやり陸上動物の肉を食べさせ、子供に牛乳を飲ませるため冷蔵庫の普及と電力供給をし、程度の低い日本の医師のためにはインターン制度を導入したという自慢話です。
 しかしDDTはレイチェル・カーソンの『沈黙の春』などの告発により禁止され、アメリカ式食生活は肥満を生むとドキュメンタリー映画『スーパーファットミー』などが告発し、ハンバーガーは動物虐待と環境破壊を動物愛護団体や環境保護団体から糾弾され、ポール・マッカートニーは自分の写真をマクドナルドの店内に飾るなと抗議するなどアメリカ的価値観押しつけには欧米では猛反発が起きています。
 日本では、家元制度を強化するとしてインターン制度は東大医学部闘争により廃止されましたが、他のことは自分に直接かかわらないからなのか専門家たちは声を大にして発言しません。
Commented by icelandia at 2009-01-08 19:05
 私の時代は、お百姓さんが苦労して作ってくれたのだから残さずに食べなさい」ということでした。今は農家の苦労もそうですが、大切な食べ物だからということでのマナーでしょうか。
 以前アメリカ人のご家族と食事をした際、ショックを受けたことがあります。有名で裕福な方でした。高級レストランで食事をしていた時、食事を残した自分の子供に向かって、父親が「そこ(残したもの)には金がかかってるんだぞ」ということを言ってました。金銭をかけたのだから残すなという言い方は私なら絶対にしないので、ものすごくショックでした。だから未だに覚えています。
 私もあら汁の魚は骨までしゃぶる派です!
Commented by n_shioya at 2009-01-08 22:18
valkyriesさん:
戦時中の反動で、アメリカの消費文化を無批判で鵜呑みにしたからでしょうか。
大方の日本人は、東部の保守的なアメリカ人が、いかに古いものを大事にするかはあまり知らないかもしれませんね。
Commented by n_shioya at 2009-01-08 22:20
ruhiginoueさん:
医学の世界も他と同様に、試行錯誤と言えば聞こえがいいですが、過ちを繰り返してきたとしか言えませんね。
Commented by n_shioya at 2009-01-08 22:31
icelandiaさん:
仰せの通り、物を大切にするのは功利的な立場ではただの拝金主義にすぎず、物を粗末にするのは、感謝の気持ちを失い、究極自分を粗末にすることだと悟るべきでしょうね。


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