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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
羊の歌
b0084241_1474683.jpg加藤周一の「羊の歌」を読み返している。
40年前の発売当時によんだときは、なぜかあまり印象に残らなかったが、いま読むと実に面白いというか味がある。
僕より一回り上のひつじ年の男の自伝的回想である。
それだけ僕も年をとったということだろうか。

全く覚えていなかったが、12年のずれは別として、あまりにも類似点が多いので驚かされた。
まず、生まれた場所が同じ渋谷の美竹町である。
どちらの親父も医者で医院を経営していた。
中学は都立一中(彼の場合は府立一中)、高校は旧制一高、そして大学は東大の医学部である。
だが医学部に行っても医者になる気になれなかったことも似ているが、彼は文学の道に進み、僕は妥協したことが大きな違いである。

ちょうど、伊集院の「美の旅人」の時のように、毎日少しずつ、ちょうど極上のチョコレートを味合うように、一行、一行丁寧に楽しんでいる。
斜め読みが習慣になってしまった僕には珍しい。
ちょうど今、高校生活のところまで来たところである。
幼少時の出来事を克明に覚えているばかりでなく、その当時の気持を子供の視点で記している点は、中勘助の「銀の匙」を思い出させる。

筆者のあとがきを引用させていただく。

「軍国主義がほろび、日本国に言論の自由が回復されから、私は文筆を業として今日に及んだ。その間二十年、私の作文の私事にわたることは、ほとんどなかった。今俄かに半生を省みて思い出をつづる気になったのは、必ずしも懐旧の情がやみ難かったからではない。私の一身のいくらか現代日本人の平均に近いことに思い到ったからである。
中肉中背、富まず、貧ならず。言語と知識は、半ば和風に半ば洋風をつき混ぜ、宗教は神仏のいずれも信ぜず、天下の政事については、自ら青雲の志を抱かず、道徳的価値については相対主義をとる。人種的偏見はほとんどない。芸術は大いにこれを楽しむが、自ら画筆に親しみ、奏楽に興ずるには到らない。―――こういう日本人が成り立ったのは、どういう条件のもとにおいてであったか、私は例を私自身にとって、そのことを語ろうとした。(後略)」

及ばずながら、僕も同じ気持ちでこのブログを綴っている。

著者は去年他界された。享年89.(合掌)
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by n_shioya | 2009-01-23 23:02 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented at 2009-01-23 23:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2009-01-24 08:31
マサトさん:
了解。


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