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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
『こころ』は本当に名作か
さわやかな五月晴れで連休が始まった。
我が家の猫の額ほどのベランダにデッキチェアを引きずり出し、読書と洒落こむ、日焼け止めクリームを忘れずシミ取りに成功した頬に塗って。

b0084241_10595018.jpg読み始めたのは「『こころ』は本当に名作か」著者は小谷野敦、比較文学者のようである。

世界一正直な名作案内」、とあるが正直あまり後味はよくない。
大体前提が矛盾している。
「文学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験思考に左右されます。」
と言っておきながら、
「世界の古典を大体読み終えた著者が、ダメならダメと判定を下す、世界一正直な名作案内」とカバーに書かれている。
ならその判定の基準は何です、著者の好き嫌いだけということになるでないか。
それなら名作などという紛らわしい言葉を使わずに、私の好きな、とか嫌いなとか言ってほしい。

よく、“美は見た人の受け止め方にある(beauty is in the eyes of beholder)”
という言い方があるが、書籍にしても、人によって感銘の受けたかはさまざまであろう。中には周囲が作り上げてきた裸の王様がいても不思議はない。
だが、長年にわたって万人に愛読きた名作が、古典として生き延びてきたわけで、それなりの敬意は払ってしかるべきだろう。

終章で著者は漱石の『こころ』を駄作とこき下ろし、返す刀で鴎外の『舞姫』も血祭りに挙げている。
どちらも僕の愛蔵の書である。
僕の意見はまた別の機会に述べる。

どんな名作でもくさすのは結構。だが、好悪価値判断を意図的に混同しないでほしい。言う当人の浅はかな感性を露呈するだけだから。
日本で比較文学を立ち上げた島田謹二先生の教えを受けたものとしては、ひねくれた読書法を学ぶのが比較文学だとは思いたくない。

だがこの本を読む限り、比較文学とは個人の偏見を強固にするためだけにあるような気がしてくるのは避けられない。
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by n_shioya | 2009-05-02 22:35 | コーヒーブレーク | Comments(8)
Commented by 小谷野敦 at 2009-05-03 00:34 x
カヴァーは著者が書くものではなく、編集者が書くものです。
島田謹二先生が『こころ』が名作だなどと言いましたか? 谷崎先生も武田泰淳も『こころ』はくだらないと言っているわけで、では谷崎先生も武田泰淳も浅はかなのでしょうか。
Commented by tokio at 2009-05-03 05:35 x
どうしても先生の、息子さんの香水が欲しいのですが、どのように購入すればよろしいですか
Commented by n_shioya at 2009-05-03 09:16
小谷野敦さん:
僕の雑駁なブログに早速コメントありがとうございます。
まず、カバーの文章は先生の第一章の13~14ページの引用と思われます。
僕がご指摘したかったのは、好き嫌いを軸にしている以上、それに一貫させていただきたかったことです。
その意味で、谷崎、武田の議論も一つの感じ方にすぎないといえましょう。
誰が何と言おうとおれはこうだというほうが、首尾一貫していると思いますが。
島田先生には教養学部時代、小説の面白さを学ばせていただいたと思います。当時彼はスティーブンソンに凝っていて、臨海楼奇談を訳されたばかりだったとおぼえてます。
絶滅にひん似ているといわれる教養学派の生き残りとして、いまだに古典の重圧から逃れられない身としては、中にはレモンもある、(裸の王様というべきでしょうか)というご指摘だけでも、十二分に楽しませていただいたことを付けくわえさせていただきます。
今後のご活躍を楽しみにしています。
Commented by n_shioya at 2009-05-03 21:06
tokio さん:
www.s-perfume.comにご注文ください。
Commented by 小谷野敦 at 2009-05-03 21:27 x
「ダメならダメと判定をくだす」という文章は本文にはありません。
島田謹二は、主として詩、また日本文学なら中世以前の古典を評価していたはずです。冒頭の部分で私が言ったのは、好き嫌いで一貫させるとか、普遍的だとか、いずれも間違いで、誰が書いた古典案内であろうと、両者の折衷でしかないということです。
Commented by n_shioya at 2009-05-03 21:47
小谷野敦 さん:
両者の折衷という点は同感です。
Commented by とある医学生 at 2009-05-05 00:26 x
横槍で失礼します。
僕は精神科医志望の医学生で、国試勉強の合間の読書を楽しみとしています。塩谷先生の『美容外科の真実』、小谷野先生の『すばらしき愚民社会』を立て続けに読了したのはつい先週のこと!今は『日本売春史』を手元で読み進めている最中でして、フト思い立って小谷野先生のキー検索からこのページに辿りついたしだいです。
学問領域のまるでかけ離れた両先生があらぬ場所で邂逅し、ストリートファイトならぬサイバーネットファイトの最前列の席に私がこの絶妙のタイミングで居合わせる。ユング読者として『シンクロニシティ』…に深く打たれるものを感じています。
お二方の著作はいずれも仙台駅前のブックオフにて半額で購入したものです。今後は定価で購入しなくては…(笑) 悪しからずご了承ください。
Commented by n_shioya at 2009-05-08 18:02
とある医学生さん:
コメント有難うございます。
縁は異なものですね。
精神科ご希望とのこと、これから益々発展する分野ですので、今後のご活躍を期待しています。


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