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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「林達夫・回想のイタリア」
b0084241_1116255.jpg碩学」とは不自由なものである。
林達夫・回想のイタリア旅行」を読んでつくづくそう感じた。

林達夫は岩波文庫のファーブル昆虫記の訳者として、昔から親しみを持っていた。ちなみに昆虫記は山田吉彦(きだ・みのる)との共訳である。
平凡社世界大百科事典の編集長として知られ、また岩波文化の担い手の人でもあった。

この旅行記は30年前のイタリア紀行に同行した田之倉稔氏が最近になってまとめた回想記である。

氏によると林達夫はその際“「観光旅行」これ以上でも、これ以下でもない、これ以外に定義ができないような旅を目指した”という。
僕流に解釈すると、教養に邪魔されないミーハー旅行を試みたということになるのだが。
でも、そこはやはり学者である。ミーハーの線引きを明確にして、見るべきものと見るべきでないものを峻別している。また、本来は見たくてたまらないが、鉄の意志で割愛しているものもある。

また“「人は見たものについて書くが、私は書いたものを見る」と言う羽仁五郎が言っていたが、僕も今はそんな気分だね、と笑いながらつぶやいた”そうだ。
“林さんは自分の書いたことを確認できて満足しているのだった。”とも書かれている。

今では割引のパック旅行が大流行りで、「観光」でない旅行をするのが難儀になってきている。
だが、そのころはまだ海外旅行が今ほど手軽ではなかった時代であろう。
専門家でなくとも、ある程度の下調べや準備が常識であった。
それをあえて「観光旅行」に徹してと言われたのは、その中身の濃密さを鑑みるとき、やはり林流の「反語的精神」によるものかもしれない。

ま、僕ならそんな面倒臭いことを考えずに、名所旧跡をはしごして、トスカーナのワイナリーを飲み歩き、最後にトレビの泉にコインを投げて、再見を期待するという、「ミーハー」としての自然体に徹するところだが。
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by n_shioya | 2009-08-22 22:11 | コーヒーブレーク | Comments(6)
Commented by だんぷ at 2009-08-23 21:08 x
観光旅行なのか鉄の意思の旅行かなど、ただの一度も考えたことないまま、
あちこちフラフラしましてきた私は
なんとなくどこに意味合いを見出だしてきたのかな?などと思ってしまいました
「だって楽しいんだも~ん」で終わっておりましたな…
Commented by valkyries at 2009-08-23 21:37 x
先生、羽仁五郎とは懐かしい名前です。彼の生家である桐生の森家と私の実家は同じ町内で、その縁で交流もあり蔵書も随分ありました。
この夏帰省した時に「ミケルアンジェロ」や「都市の論理」を読み返そうとしたのですが、内容が難解なのに加え、文字が小さくて余白が全く無く、すぐに諦めました。最近流行の新書とは装丁からして全然違うということを認識した次第です。
Commented by n_shioya at 2009-08-24 10:59
だんぷ さん:
それでいいんですよ、なにも不自由な前世紀をなぞらなくても。
Commented by n_shioya at 2009-08-24 11:01
valkyries さん:
平凡なことをシチめんどくさくするのが、哲学者であり、そのエピゴーネンが教養学派と心得ているのですが。
Commented by valkyries at 2009-08-24 19:04 x
先生、確かに。廣松渉など、「超難解な文章を書くことは、哲学者としての読者サービス」だと信じていたようです。
でも羽仁五郎の文章は決して難しくはありません。むしろ格調高い、リズム感に溢れるものです。ただ小さな文字がびっしりと印字されているので、それに怯んでしまいました。
Commented by n_shioya at 2009-08-25 22:13
valkyries さん:
不明にして廣松渉走りませんでした。のぞいてみます。
カントなども、天野貞祐のおかげで難解なものとなったと聞いたことはありますが。
羽仁五郎とその時代は、また反芻してみたいと思います。


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