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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
最近お亡くなりになったが、東京芸大に中尾喜保と言う名物教授がおられた。
専門は美術解剖学で、我々は医学部の学生時代に解剖学の授業の一部として「生体観察」という講義を受けたものである。 そのユニークさについてはどこかで書いた覚えがあるが、僕が一回もさぼったことのない唯一つの講義とだけ申し上げておこう。 その中尾助手(当時)がこう言われたのを今でも覚えている。 “君たち、女性の年はまずどこに現れるか知っとるかい? それは二の腕だ。そこにまず皮膚の弛みが生じ、しかも最も隠しにくい。” なるほど、そういうものかと感心したものである。 その後、メスでエイジングと戦うようになって、顔の若返りはある程度可能だが、傷跡の問題でいまだにアンタッチャブルなのは二の腕の弛みであることは実感させられた。 だが、それ以上に患者が気にしてなおかつ、対処に困ってきたのが手の加齢である。 ある意味で、手は顔以上に人目にさらされると言える。 しかもお化粧が難しい。剥がれやすいし、不自然な感じを与える。 皮膚の老化の原因の8割は紫外線とされているが、手は日光に対する露出度が最も多いため、シミ、たるみを生じやすく、しかも最も目立つ箇所である。 だが、その治療が困難なため、美容外科医は今まで手をつけるのを避けてきた。 それが、先回の美容外科抗加齢学会で、始めて真正面から話題として取り上げられたことは御報告した通り。 結論から言うと、最近のレーザー、ケミカルピール、美白剤をうまく使いこなすことで、しわ、シミ、特にシミはある程度改善可能になったという。 ただ、再発予防のための紫外線防止が、顔以上に大事なことは言うまでもない。 だが、今回は、弛みに関しての議論は出なかった。 僕の記憶では、50年ほど前、小指の付け根から手首にかけて、手背にL字型の切開を入れ、たるんだ皮膚を切除するという手術の報告があったが、その後、追加報告は見かけない。 やはり傷跡の割に効果が薄いということだったのだろうか、 当面はシミが薄くなるだけでも良しとしなければならないようだ。
by n_shioya
| 2009-12-09 23:34
| アンチエイジング
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Comments(8)
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silku928 at 2009-12-10 07:45
いつも興味深い話題、ワクワクしながら拝見しています。
昔から、女性の年齢は手と首に現れる..とお聞きしていましたが、 二の腕、確かに確かに!! 我が二の腕も、もはや振袖状態。 このままでは、大変なことになります!とあらためて。 手はこまめにセッセとハンドクリームを塗っておりますが、 紫外線には、無防備。気をつけたいと思います。 弛みに関しての議論、対処も、これからお待ちしております。 余談ですが、男性の手も、何かと気になります~♪。
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だんぷ
at 2009-12-10 08:16
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…となると
この季節電車の中などでよく見かける姿なのですが、 『ハンドバッグからハンドクリーム出してヌリヌリ→そのまま手を露出して電車降り紫外線の中へ』 なーんて最悪ですね…オイル焼き状態? 日焼け止めか手袋をオススメしたくなる衝動が… 今も目の前にいらっしゃるんです、そんなヌリコミ女子が…
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ミカロ
at 2009-12-10 12:27
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昔、おばあちゃんの温かく優しい、手をつまんで、
「しわが元に戻らないよね~」と遊んでいたものです。 だんだん自分もそうなるけど、気にしない! 手をみただけで「働き者」とわかるおばあちゃんの手みたいになりたいな。
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icelandia at 2009-12-10 22:01
ふーむ、痩せすぎの身としては、二の腕のたるみも福音なんですが・・・(たるんでいない時は細すぎて貧相でノースリーブを着ることができなかった)。でも、手の日焼けは確かに言えていますね。気をつけようっと。
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n_shioya at 2009-12-10 22:18
by silku928さん:
はい、ぼくも手入れをします?
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n_shioya at 2009-12-10 22:19
だんぷさん:
どういうわけか、ぼくは人前での化粧あまり気にならないのですが。
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n_shioya at 2009-12-10 22:20
ミカロ さん:
そう、その意気!
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n_shioya at 2009-12-10 22:20
icelandiaさん:
悩みは人それぞれですね。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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