ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
漱石の個人主義
漱石、鴎外といった明治の作家の作品を読み、またその生きざまをたどると、その欧米文化の吸収力と又自分なりの対峙の姿勢に感服させられる。
当時のカルチャー・ショックは想像もつかぬほど大きかったはずなのに。
それなりの苦労はあったろうが、それゆえに洞察力も深いものがある。

b0084241_2251353.jpg鴎外と漱石はある意味で対処的な存在だが、今日は漱石の「私の個人主義」を読み返し、改めてその感を深くした。

これは大正三年の学習院での講演会の記録である。
ヨーロッパ文化のコッピーに汲々している日本からイギリスに渡った漱石は、“自由と規律”を前提とした個人主義に接し、個人主義のコピーほど矛盾したものはないと悟る。
自分の価値観を求め、其れに立脚した「自己本位」の生き方を模索する。
これは今はやりのミーイズムでもなければ、まして利己主義でもない、もっと孤独な厳しい世界である。
これはほぼ一世紀たった今でも、日本人が抱えている問題である。

自我の目覚め”、これは育った環境もあるが、多分に生来的なものではなかろうか。
幸いに僕は育つ家庭で其れを阻害されることはなかった。
岐路に立った時、僕の選択方法は単純だった。
自分をその状態に置いた時、何かしっくりいく、その方向を選んだ。
極端にいえば、たとえそれで飢え死にしようとも、それをやることで満足が得られるなら。
もっと卑近な例えは、丁度下着が自分に合うかどうかといった原始的な感覚である。

これは裏返せば、人はだれでもその人に会う下着をはくべきだということだ。つまり自分の価値観は人に押し付けることはしたくない。
それぞれが自分の下着、すなわち価値観を求め、それを大事にして。
我が家では子供たちもそのような環境で育ったと思う。放任主義と取られてもいたしかたないが。
だが、それは決して日本の社会に適応しやすい人間は作らない。
長じて長男に言われた。
“自由を与えられるということは厳しいことだ”と。

文明の衝突」の中でハンチントンは、宗教的な見地から日本だけは一国だけで文明圏を形成している様に書いていたが、この問題をどう取り上げていたか、また読み返すこととしよう。
[PR]
by n_shioya | 2010-02-26 22:18 | コーヒーブレーク | Comments(6)
Commented by 船長 at 2010-02-27 07:53 x
自由を与えられることは間違いなく厳しいです
でも、このような時代だからこそ「自分でつかみ取る力」が大切なはず
そして、関わって下さる方への感謝も「自分」でつかんだからこそ心の底から生まれると感じます
この国に今感謝の心が育ちにくいと日々感じる者の独り言ですが…
Commented by masa at 2010-02-27 12:07 x
先日は、コメントのお返事ありがとうございます。
さて、非常に深く核心的な内容ですね。今の時代(特に日本)どれだけのものが与えられて生かされている事か。この感覚って得るのが難しいのかもしれません。「あたりまえ」になってしまって…。
私もそうでした。本当の意味での自由って、そこにたどり着くまでが大変なんでしょうか?いや、その道のりを楽しめさえすれば、自分の下着を得るのはそう難しくはないのかもしれませんね。
道半ばのmasaでした(^^)
Commented by けろっぴ at 2010-02-27 13:00 x
私の下着が、必ずしも自分に合っているかどうかは疑問なのですが、それでも、もう選んでしまった以上、先生がおっしゃるように大事にしていかないと...

『自由』 を得ることは、大きな責任がともなう、とても厳しいものだと実感しています。 しかも、『日本の社会に適応しやすい人間は作らない』 というのも、おっしゃる通りだと実感しています。

宗教的な見地からだけでなくても、たしかに日本は、一国だけでユニークなひとつの文明圏を築きあげたように思われます。 

日本は、"One of the most exotic countries in the world" として、National Geographic Channel で紹介されていた、と職場の同僚が教えてくれたことがありました。その、10国の中には、パプア・ニューギニアも含まれていたそうで、思わず笑ってしまったことを覚えています。
Commented by n_shioya at 2010-02-27 22:39
船長さん:
マザーテレサがインドより日本のほうがもっと気の毒な状態だと言われたのを思い出します。
Commented by n_shioya at 2010-02-27 22:41
masa さん:
大時事なのは到達点より意思決定のプロセスだと思いますが。
Commented by n_shioya at 2010-02-27 22:42
けろっぴ さん:
ニューギニアと同列ということは喜ぶべきかもしれませんね。


<< 温泉と都市型原始人 北里研究所病院 >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム