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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
聖母病院の思い出
今日は学習院の生涯教育センターで「見た目のアンチエイジング」の講義をさせていただいた。

学習院は目白駅の南側だが、反対に北へ数キロ言ったところに聖母病院があり、アメリカから帰国して間もなく、カトリックという御縁で聖母病院を始めて訪れた時のことを懐かしく思いだした。

院長はマザー・メリーというイギリス人のシスターだった。
小柄な方で、当時すでにご高齢だったが、実にシャープな方で又イギリス人独特のドライ・ユーモアの持ち主だった。
“そう、アメリカで形成外科を修業された?”
“はあ、”
“外科の専門医の資格もお持ちのようだが、形成外科だけをおやりになるおつもり?”
“勿論です”
飢え死にしなければいいけどね。”
というのが初対面の御挨拶だった。

当時まだ日本では形成外科は認知されておらず、マザーは患者が来るかどうか心配されたのだろう。
だが僕は外科には手を出すまいと決めていた。
形成外科は特殊な技術と間隔を必要とする。朝、胃切除をして午後にしわ伸ばしの手術という具合には、頭も手もなかなか切り替われない。
また、外科に手を出せば外科医をライバルにまわすことになり、彼らから形成の患者が回ってこなくなるだろうという計算もあった。

幸い当時日本では十指に満たない形成外科医に対し、手術を必要とする患者は日本中に溢れ、母校東大に戻ると、手術の予約待ちの患者が3年先まで詰っており、飢え死だけはまぬかれた。
逆に東大だけではベッドが足らず、聖母病院のベッドもお借りするようになる。

その後院長から、後を引き継いで欲しいと御依頼を受けたが、丁度北里大学に教室を開いたばかりだったので、御希望に添えなかったのは信者のはしくれとして未だに心残りである。

学習院の講義の方だが、いつものように少数だが熱心な受講者を相手に、充実した一時間半を過ごすことができた。

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by n_shioya | 2010-05-10 22:21 | アンチエイジング | Comments(6)
Commented by 船長 at 2010-05-11 07:13 x
キビシメのユーモアで励まされたのでしょうね
厭味にならずさらっと言えたらかっこいいな、と思うことありますが、到底できない芸当です
それにしても先が見えずとも「これで行く!」と先生が決心なさらなければ、形成も美容外科も今の発展があったかどうか…
宣伝に踊らされた犠牲者がもっと多かっただろうと想像に難くないです
ありがたいお話です
Commented by ruhiginoue at 2010-05-11 20:19
 形成外科だけというのは問題だと思います。
 よく皮肉られるように、形成外科医は傷を上手に縫えたとご満悦だけど、そのとき既に負傷者は息絶えていた、ということになります。
 「明日できることは今日やるな」と言うけど、それで形成外科医は成功率が上がり満足なのでしょうが、患者はもう残りの人生が無くなり、手術跡は治ったけどもう年寄りで婚期も就職も逃してしまい無意味です。
 細分化された医学では患部しか見えないとの問題が指摘されてますが、その最たるというより極端なのが形成外科ではないでしょうか。やはり他の分野も一緒に勉強してほしいものです。
Commented by n_shioya at 2010-05-11 21:20
船長さん:
マザー・メリーは立派な方で、聖母病院もいい病院でした。
Commented by n_shioya at 2010-05-11 21:22
ruhiginoue さん:
ですからアメリカでは、形成外科に進むためには一般外科の訓練が必須となっています。
それでも、患者の心臓が止まっても、黙々と縫い続けた形成外科医を目にしたことがあります。
Commented by 幸ママ at 2010-05-11 23:44 x
先生が聖母病院にいらした短い間に口唇口蓋裂の治療でお世話になりました。
先生のブログはとても長い間、拝読させていただいていますが、聖母病院がとても懐かしかったので書き込みさせていただきました。
当時まだ小さかった私ですが中庭を歩いているシスターや病院内にあった礼拝堂そして先生のちょっとひんやりした手を思い出しました。
Commented by n_shioya at 2010-05-12 22:46
幸ママ さん:
コメント有難うございます。
医師にとって、昔の患者さんからのお便りほどうれしいものはありません。


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