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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「文学に出てくる死」
北里大学時代の同僚に設楽君という耳鼻科の教授がいた。
医学部の同級生で、シオヤ、シダラと名簿順で並んでおり、実習グループも一緒で、思えば長い付き合いだった。
勿論ほぼ同時に退官して、今彼はゴルフにいそしんでいる。

僕と違い、医学はもちろん、運動、文学、何をやらせても一人でこなす器用な奴だった。
学生時代は演劇に凝って文学座に通い、戯曲も書いていたが上演されたことはなかったようだ。

退官すると彼は、さっと医学から離れ、教養部で新入生を教え始めた。名誉教授は交通費だけでタダ同然に使えるのが大学の付け目だったようである。
一応は日本文学ということだったが、詳しくはその内容は知らなかった。ただ、会うたびに、講義の準備の楽しさを聞かされた覚えがある。
“君もやらんか?”と定年の際勧められた。
“なにを教えるの?”
“女性論はどう?”と言ってくれたが、
“たった一人の女も理解できずに苦しんでいる男には、それは無理だ。”ご辞退申し上げた。

数年前、その彼の講義録が新書の形で出版された。
題は「文学に出てくる死」。(医療系の若い人の為に)という副題が付いている。
今読みなおしてみるに、改めてこのテーマに彼が第二の人生を注いだ気持ちがおぼろげながらわかってきた。
相当部分は、万葉集、今昔物語、平治物語、平家物語と日本の古典で占められているが、ファウストや魔の山など、昭和一桁の教養主義の関門もすべて網羅されている。
それぞれの作品の死生観を、文学論としてではなく医師の目で見直すという試みで、それに対する学生の意見も添えられて興味深い読み物となっている。
死後の世界」を信ずるか否かで死に対する態度が違ってくると、くりかえし述べている。
当然なことだろう。
何時か改めて、自称「無神論者」の彼に対し、「隠れキリシタン」の僕が、仮面をはずして論争を挑んでみたいと思っている。
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by n_shioya | 2010-07-04 21:44 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented by 船長 at 2010-07-05 07:20 x
やはり人生「気が多い」と言われても、興味のおもむくまま色々と散歩してまわる方が幅が出ていいですね
所詮この世では一度きりの人生ですし…
ただ、凡人には「広いけど浅過ぎ」「穴だらけ」で
「結局ナニモノにもなれぬ」リスクは避けられないような気もしますが…
Commented by n_shioya at 2010-07-05 17:20
船長さん:
大切なのは好奇心。あまり難しく考えずにミーハーで行きましょう。


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