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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
酒井駒子の絵本
テラスのベンチに腰をかけ、グラスのグレープジュースを啜る。
目の前には牧場のように草原が広がり、そこここに点在する白樺の木立の根元は青い花をつけた草叢で囲かこまれている。
ここは「えほんミュージアム清里」。
「酒井駒子絵本原画展」が開催されている。
ジュースは入場料に含まれたドリンクサービスだ。
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10年ほど前に清里の丘に開館したこの絵本の美術館は、エロール・ル・カインの常設の特別展示室が目玉であるが、ブルーナやリザとガスパール、オリビア、ゾーバなど、内外の絵本の魅力的な原画展を定期的に開催してきた。
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酒井さんは現在朝日新聞の連載小説の挿絵を担当されているので、御存じの方も多いと思うが、独特のタッチで幼い子供の世界を描き出す、僕のお気に入りの作家である。
幻想的でしかもリアルで、それだけで完結せず、観る者をその世界に引きずり込む魅力がある。

僕は子供時代に抱えていた奇妙な不安感を思い出した。感性の世界に引きずり込まれまいとする抵抗である。
感性に身を任せたい誘惑、だが、行方の分からぬ不安。
トーマス・マンは名作「トニオ・クレーゲル」で主人公にトニオ・クレーゲルという奇妙な名前をあたえ、ラテン的な芸術家気質(トニオ)とドイツ的な小市民性(クレーゲル)の相克を描いている。
今の脳科学の言葉でいえば、右脳の世界に左脳がブレーキをかけているということだろうか。

多くの場合、特に男は成長の過程で「感性」に蓋をして、「社会生活」へ順応していく。
だが年月を経ると、年のせいで抑制が弱まるからか、「感性」が蓋を持ち上げて頭をもたげてくる。
おう、「感性」よ、君はまだ居てくれたのか。丁度「パンドラの箱」の底に潜んでいた「希望」のように・・・

“貴方、何考えているの?”
配偶者がグレープジュースのグラスを手にして、ベンチの隣に腰を下ろした。
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by n_shioya | 2010-07-05 17:17 | コーヒーブレーク | Comments(4)
Commented by ソワレ at 2010-07-05 18:10 x
はじめまして。
酒井駒子さん、私も大好きな絵本作家さんなので思わず訪問させていただきました。
あの不思議な空間に引き込まれると、確かに不安感におそわれますね。
「金曜日の砂糖ちゃん」などは、子どもを扱った題材の絵本なのに、静けさと孤独感とに支配されてて、なんだか異空間に誘い込まれそうです。

感性・・・理性と共存してくれていると思います。
Commented by ローズマリー at 2010-07-05 22:26 x
感性とは五感を研ぎ澄ましことだと思う。
Commented by n_shioya at 2010-07-06 22:42
ソワレ さん:
コメント有難うございます。
同じような感じを持たれている方がいると知り、うれしく思います。
Commented by n_shioya at 2010-07-06 22:43
ローズマリー さん:
確かに。
文明の発達で鈍くなった五感もありますね。


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