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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
”砂州をこえて”
“80というのは人生の山場の一つかしら”
三日前に亡くなった教会の仲間の告別式の帰りに、配偶者はつぶやいた。
彼は我々と同じ79歳だった。
そういえばこのところ、訃報が多い。それもクラスメートとか、同年代の仕事仲間である。

ところで“海に乗り出す、というのは西洋人にとっては、神の世界に向かうという感じがあるのかしら”。何でそう思ったのか配偶者はいう。
そう、テニソンの辞世「砂州をこえて、Crossing the bar」はまさに其の世界を歌っている。

“河口に近い砂州で一旦止まる川の流は、やがては大海原に溶け込んでいく。
砂州を超えることは死を意味する。
その先には神である水先案内人が、詩の中ではPilotと歌われているが、待ってくださっているだろう。“
信仰深いテニソンならではの名詩である。

だが、そのテニソンにとても、親友ハラムの死は深刻な衝撃だった。
其の魂の慟哭を「In Memoriam」として歌い上げる。
詩人は死の悲しみから発して、不滅なるものに出会い、最後には生きることの価値を見いだす。
高校時代、その原詩に接し、不滅なるものとの出会いのあたりで僕は慟哭した。
丁度フォーレのレクイエムの半ばで、一条の光が差し込む調べがあるが、それと似た感動だった。
高校生にどれほど原詩がわかったかと、今は思う。だが、詩の神髄に触れたことは今でも疑わない。

僕もこの12月で80。何時砂州をこえても不思議はない。
だが、その時、砂州の彼方で我がPilotがやさしく手を広げてくださっていることを切に祈る。
by n_shioya | 2011-06-21 22:56 | コーヒーブレーク | Comments(3)
Commented by Ken at 2011-06-22 09:12 x
大丈夫ですよ、先生! 優しい笑顔で手を広げていますよ。 明日から28日までプラハに行ってきます。 発表よりもこれからの(残り少ない)人生を如何に楽しく生きるかを心して行ってきます。
Commented by n_shioya at 2011-06-22 22:37
Ken さん:
頑張って、というより、古都プラハを存分に楽しんでいらっしゃい。
Commented by kureni2000 at 2016-01-08 21:39
塩谷先生、初めてコメントします。この間、仙台の土井晩翠先生のお嬢さんの土井照子さんが27歳の時に結核で召される時に、テニスンの「砂州を越えて」を英文で読んでいただいて、悠然として、主の許に帰った記事に感動し、書生だった小田島嘉久青年が信仰の世界に導かれたという内容を読み、「砂州を越えて」の詩とはどんな詩だったのだろうと検索していたら塩谷先生の文章に出会いました。電車の中でスマホで読んできたので、こんなに深く信仰のこと、英語の韻のことを理解しておられるとはいったいどのような方なのだろうかと思って、今、うちに帰って見たところです。また、ゆっくり遊びに来ます。わたしは日本基督教団の牧師をしています。感動したので、一言記しました。


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