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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
アユとシラミ
NHKにはキッチンカ―という料理番組がある。
改造したキャンピングカーに料理の達人とタレントが乗り込み、日本全国を回って、その土地の名産を使って創作料理を披露する。
今日は伊豆の天城山麓だった。
狩野川の清流の鮎、天城名物のワサビ、品種改良を加えた軍鶏が食材として出てきた。
皆、涎の垂れそうな自然の恵みである。
中でも、アユは僕にとっては最も思い出深い魚である。
といっても今日の番組にでてきたような、新鮮な“アユの塩焼き”を頬ばった思い出ではない。食べられなかったアユの思い出である。

戦争末期、食糧事情は絶望的になり、栄養不良でガリガリにやせ、いずれは餓死するか、日本軍に殺される(アメリカ軍ではない、念のため)運命にあった時、何時も夢にでる食べ物がアユ、それも塩焼きだった。
どうしてアユだったのかは分からない。

米などは全く手に入らない。配給されるのは大豆だけのこともしばしばだった。
一日の食いぶちが大豆数個のこともあった。
また、信じられらないほどの不潔な状態が続き、大人も子供も髪にも衣服にも虱を飼っていた。
そして我が家では、虱一匹が大豆一粒の価値があった。

というのは、我々の世話をしてくれた叔母の頭の虱を駆除するのが子供らの仕事になったからである。
一匹、一匹、爪の間に挟んでプチュ、プチュとつぶしていく。
そしてプチュと一つ音を立てるたびに、大豆一粒が渡された。
もし生き延びることが出来たら、まずアユの塩焼きを、あのくの字に串刺しにされ、塩をまぶした鮎をと夢見ながら、プチュを続けたのも、今は懐かしい思い出である。

このように成長期に粗製乱造された昭和一桁は、当然短命と思われた。それがどういうわけか、大方が80を過ぎてもしぶとく禄を食んでいる。
最近のネズミの実験では、3割餌を減らすと長寿遺伝子にスウィッチが入り、寿命が3割伸びるということが分かった。これを抗加齢の世界ではカロリー・リストリクションという。
我々昭和一桁は図らずも適切な時期にカロリーリストリクションを受けたということになのだろうか。
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by n_shioya | 2011-07-22 22:28 | 食生活 | Comments(4)
Commented by 船長 at 2011-07-22 23:32 x
はて…
なんだか不思議ですが、結果そういうことになるのでしょうか?
でも、なぜこの国はあの戦争の時代の「日常のこと」が
実感を伴って語り継がれることがあまりないのでしょうか?
「ありえなーい」とか「マジ無理~」とかいう言葉を
戦争を知らない中途半端な大人が恐れているのでしょうか?
なぜ伝わらないのか…疑問です
Commented by はな at 2011-07-23 01:26 x
私もしらみつぶしをした世代です。
育ち盛りの時にいつも空腹でした。お蔭で身長が伸びず、10年あとに生まれた妹より12cmも背が低いのです。
でももしかしたら妹よりずっと長生きするのではないかと思っていますが、それがいいのか悪いのか、どうなんでしょう?
Commented by n_shioya at 2011-07-23 22:32
船長 さん:
戦争が終わった時、我々はこれで平和の時代が来たと歓び、いまわしい過去は忘却これ努めました。
同時に自分たちの責任追及からも目をそらしてきたのです。
Commented by n_shioya at 2011-07-23 22:32
はな さん:
長生きしてよかったと思える世の中にしたいものですね。


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