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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
われながら過激な表題だと思うが、今の子供達の異常なまでの過保護を目の当たりにすると、あえて叫びたくなる。
「創傷治癒」を専門分野としていると、子供の怪我の処置について話をする機会が多い。 “消毒は水道水で洗い流せば充分。”その後は湿潤療法(モイストヒーリング)に話しを進め、“傷を吹いで乾かさないでください。かさぶたをつくればそれだけ治りも遅れ、跡も残ります。” と言って「湿潤環境」の大事さを説くわけだが、最後に必ずこう付け加えることにしている。 “怪我をするのは子供が元気な証拠と思ってください。 遊びまわるのは子供の権利で、多少危ない目にあいながら、自分で対処する方法を身につける。少しぐらい転んで怪我したり、いたずらして台所で火傷したっていいじゃないですか。” 僕は五人の子供がいるので、といっても育てたのは配偶者だが、その経験から言えることは、もし子供が怪我一つしないで育てば、それは奇跡ともいえる。 切り傷、擦り傷、火傷など僕の子供は皆一度は親父の世話になっている。念入りに、二度、三度も手を焼かせた子もいるほどだ。 いくら親が気張っても、目が届くのは1割にもならない。後の9割は天上のどっかでどなたかが見張ってくださるとおまかせしたほうが気が楽である。 子供は皆生まれつき「羅針盤」を持っている、というのが僕の信条だ。 怪我に限らず、危ない目にあうことでその「羅針盤」が働き始める。それを過保護に育てれば「羅針盤」が機能しない哀れな人間を作ることになる。 “可愛い子には旅させよ”、と昔の人は言ったではないか。 動物の世界はもっと厳しい。獅子は子を千尋の谷に突き落とすという。 今ひとつ世のお母さん方に言いたいのは、“だから子供の怪我は親の責任ではない”ということだ。 不必要に自分を責めないで欲しい。お姑さんも余計な口を出さないで欲しい ただ運悪く怪我をしたときは、“その時点で最善と考えられている治療を受けさせるのは親の務めですよ”、と最後は「湿潤療法」の勧めに話を落とすことにしている。
by n_shioya
| 2013-02-05 20:30
| キズのケア
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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