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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「12ドルの結婚」その後
1957年2月の「12ドルの結婚」後数ヶ月で、やっとのことでビザが下り、式の日取りは7月8日となった。
花嫁はその前日にニューヨークに到着し、その晩は渡米以来僕が親代わりにお世話になっているディバイン宅に泊めてもらうことにした。
そして僕は所属しているカトリック教会に司祭を訪ね、挙式のお願いをした。
「12ドルの結婚」その後_b0084241_20285629.jpg

“それはおめでとう”、と親しくしている神父さんはよろこんでくれたが、花嫁がまだカトリックの修行中で洗礼前だとわかると、ちょっと顔が曇った。
“昔と違ってカトリックと異教徒の結婚はそれほど難しくは無い。それは今問題ではない。
ただ、カトリック同士なら教会で行われない結婚は元来無効なので、ビザの為の2月の入籍は仮のものとして、改めて教会での挙式を正式に行えるが、カトリックとそうでないものの教会外の結婚は、有効とみなされる。ゆえに貴方方は2月に正式に結婚したことになるので、そのあとまた教会で挙式は出来ない”というのである。

“何とかなりませんか”
こちらは必死である。
“いや、困りましたな。”
神父さんもお困りのようだ。
やがてスッと立ち上がり、奥から分厚い書物を持ってこられた。
広辞苑の三倍も重そうな儀典書をあっちこっちめくって、ああこれだ、と笑顔が戻った。
結論から言うと、「本人同士にその意思がないときの結婚は無効とみなす」、という条項が見つかったのである。
こうして挙式のお許しがでた。

式の当日、花嫁は慣れない着物の着付けに手間取って、式の開始が30分遅れてしまった。
誓いの言葉を唱え、指輪の交換を済ませたとき、突如入り口の戸が開いて、お棺が担ぎ込まれてきた。
こちらの不手際で次に控えていたお葬式の時間に食い込んでしまっていたのである。
やむなく式の途中で「死者」にお御堂を明け渡し、我々は外の石段の上で、賑やかに皆の祝福を受けながら、カメラの前でポーズをとった。
中では厳粛に「葬儀」が進行していた。
この時、介添え役の九大の留学生の中村先生が発したフランス語の科白はけだし名言だった、
“セ・ラ・ヴィ!(これが人生!)”。
by n_shioya | 2013-02-10 20:30 | コーヒーブレーク | Comments(1)
Commented by HOPE at 2013-02-17 10:03 x
セ・ラ・ヴィ…の意味がよーくわかりました!


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