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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
マンハッタンの宵
『灼熱した鉄の玉のような太陽がハドソン川の西にストンと落ちると,チカリ,チカリとビルの窓に明かりが灯り,やがてタイムス・スクェアはネオンの洪水となりマンハッタンの宵が始まる.
セントラルパークのナイトクラブで、ドライ・マティーニを手にした僕は、その夜景を楽しんでいた。
戦後のアメリカの最盛期、50年代には、この緑の中にたたずまうお伽ぎ話のような館「タバーン・オン・ザ・グリーン」は、アスファルト・ジャングルのオアシスであり,夜は芝生に張り出したテラスでダンスが楽しめるファッショナブルなクラブだった・・・
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ワン,ツー,スリー,ワン,ツウ,スリー.優雅なワルツの旋律に乗って男女の群れがくるり,くるりと舞っている. 僕もデイルの手を取って輪に加わった. ワン,ツー,スリー,ワン,ツウ,スリー・・・
緑のドレスにブロンドを靡かせたデイルは,パンナムのステューワデス.今宵初対面のブラインド・デートで、不慣れな僕をさりげなくリードしてくれる.

“ニューヨークは如何? “
“ウーム素晴らしい.それ以上に君が.“
いつの間にか,デイルはそっと頬を寄せてくる.
時差ぼけの頭の中で,昼間かいまみたマンハッタンの街並みがくる,くると渦をまいている.
“さ,一休みしましょう.こんどはメキシコのテキーラをどうぞ.“
連れのスタンは白いカシミヤのスーツの可愛いジョーンと踊っている.デイルのルームメートで同じパンナムのステューワデス.

僕はスタンとの関係をデイルに話始めた.
コロンビアに在学中,徴兵で日本に来た時知り合い、今度は僕がフルブライト留学生として渡米。昨日アメリカでの最初の一夜を彼の處ですごし,昼はマンハッタンを見物して,ダブル・デートのブラインド・デートという言葉を教わって,今その実習中。そして明日は研修先のオルバニー大学に飛ぶ予定、等々。
“そう、では貴方はこれから「ベン・ケーシー」を目指して頑張る訳ね“とテレビの人気番組の脳外科医の名前を挙げて僕をからかう.

スタンがジョーンと手をつないで戻ってきた.
“今度日本にフライトでいったら,是非こいつに案内してもらうといいぜ,デイル “
“素晴らしいわね.でも当分はこちらで外科の修行でしょ,「ベン・ケーシーさん」?“
とデイルは僕の頬をつねる.
“ま,そうだが又マンハッタンで逢うというのはどう?“
“君たち二人,随分と気が合うようだね.“とスタンがウィンクする.
出る前の忠告を忘れるなということらしい.
大丈夫,スタン.僕のフィアンセや勿論君の日本に残して来たガールフレンドの事など口にしないから.

チャ,チャ,チャ. 急にテンポが変わって,歯切れいいラテンのリズムが始まった.
“さあ又,踊りましょう.“デイルが僕の手を引っ張る.
そう,腰をまわして,足を出して引っ込めて.いやー忙しい.
おーとっとっと.僕の足にぶつかってデイルのハイヒールが、片方芝生にポーンと翔んでいった.
“こんなの無い方が楽よ“,
とデイルは残りの片方も手に取って芝生に放りだす.
いい奴だなあ君は,デール.

1時,2時.マンハッタンの宵は楽しく更けていく. こうして僕達が二人をアパートに送って,それぞれにお休みのキスをする頃,東の方,イースト・リバーの彼方の空は白み始めていた.』

だがこの「タバーン・オン・ザ・グリーン」も寄る年波に克てず、数年前閉鎖になったと聞いて,暫し感慨に耽っている。
又長くなりました,失礼。
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by n_shioya | 2013-02-23 20:44 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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