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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「鏡よ鏡」 なに、しわ伸ばしが必要だと!
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話は40年ほど前にさかのぼる。
ある日鏡の中の自分の顔を見て愕然となった。ふさふさとした黒髪の中に数条白いものが走っている。白髪である。よく見ると、目尻の皺もぐっと増え、あごもたるみが出てまるで七面鳥の首である。
もう既に40過ぎだったから、なにも驚くことはないが、本人にはショックだった。大げさに言えば、気持ちは若いつもりでいたのに、肉体に裏切られたと言った思いだった。なるほどと、僕は其のころ増え始めた、「しわ伸ばし」の手術に思いをいたした。

アメリカからの影響もあって、そのころわが国でも、「しわ伸ばし」の手術が普及し始めて、希望者が我々の外来も訪れるようになってきた。
手術そのものは慣れれば決して難しいものではない。顔なのでデリケートではあるが、傷跡にたいする配慮と、顔面神経に注意さえすればそれなりの効果は上がる。中にはアメリカからわざわざ手術のため、来日する患者もあった。が心の中では、なにもそこまでしなくても、しょせんは虚栄心の為ではないか、美しさとは形よりも心ではないかなど、要するに手術をしながら、何時も割り切れなさに悩んでいたのである。

だが、とその時僕は鏡の前で悟った。男の僕がこれほどのショックを受けるなら、女性がわずかな皺のために、手術でもなんでも我慢しましょうという、気持ちになるのも無理からぬことではないかと。

更に、心と体と対立させても、所詮は一つの人格である。二つには分けられないのではないか。心の美しさが内面からにじみ出るように、容姿をととのえることにより精神面も向上し得ることも、本音として認めていいのではないか。虚栄心と向上心とは、紙一重の差ではなかろうか。かくして僕は「しわ伸ばし」にも真剣に取り組むこととした。

そして10年後。アメリカで学会のおり、カクテルパーティの席で旧友のホートン教授が、グラス片手に近づいてきた。再建手術では世界的な権威である。 “俺の秘書がね、君に宜しくとのことだ。俺も知らなかったが、実は10年ほど前に母親が日本まで行って、君から「しわ伸ばし」の手術を受けていたのだそうだ。”

“それは知らなかった。今どうしてる?”
あの時すでに60才で未亡人だったが・・・
“その後再婚してね。幸せにやってると伝えて欲しいと秘書が言っていたよ。”
僕たち二人は再会を祝し、叉そのカップルの幸せを祈って、カチリとグラスを合わせた。
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by n_shioya | 2013-03-04 21:09 | アンチエイジング | Comments(0)


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