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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
心の平和
アルゼンチンから新法王が誕生した。
世界平和に暗雲が立ちこめる今、フランシスコ一世に対する期待は大きい。
心の平和_b0084241_2291678.jpg

ところでカトリックの礼拝式すなわちミサでは、その終わりのほうで司祭が
“私の平安をあなたたちに与える”
という「キリストの言葉」を唱え、参加者は口々に主の平和といって、お互いに 「平和の挨拶」を交わす。
アメリカでは皆握手をしたり、キスを交わしたり、堅苦しい儀式の中で、一瞬、和やかなざわめきが聖堂を満たす。

これはヨハネ伝に記されている「キリストの言葉」だが、はじめ聖書の講義を受けたときは、“何だ、タダの平和か、もちっと役に立つもの、金とは言わなくても、健康とか仕事とか実質的なものを約束してくれればいいのに、でもキリストも貧乏だったしな”、など不届ききわまる考えを抱いた覚えがある。

でも「心の平安」が如何に大事で、もっともわれわれが必要としているものか、恥ずかしながら最近になって痛感するようになった。
先々のことを絶えず慮るのが、われわれのサガである。
明日の糧とまでは言わなくても、明日の天気、体の調子、テストの結果、取引先の反応とうとう、取り越し苦労の種は尽きない。
案ずるより生むは易しともいうではないか、起こるかどうか分からぬことをなぜ我々はくよくよと、心を浪費するのだろう。
心配するだけだけならまだよい、ブッシュのアメリカなど、石油の利権の確保に狂奔して、全世界をテロの恐怖に巻き込んでいるではないか。
反面、備えあれば憂いなし、ということわざもある。
これももっともな言いである。
ただこれは我々世代にはいささか胡散臭く響く。太平洋戦争のとき、国家権力が特権階級の自己防衛のために、国民を騙し、犠牲を強いたときのスローガンだったからだ。

だが「自己防衛」そのものは、生物に備わった自然の本能でもある。
平和を希求する心と、自己保全のためには他を傷つけて省みない愚かさと、相反する二つの力を我々は自分の内に抱えている。
また備えあればといっても、どれだけの備えがあれば万全なのか、また、頻発する地震のように、まだ、人知の及ばない天災もいくらも起こりうる。
このように自分の力だけで本当に憂いをなくそうと思ったら、いくら金を使ってもかなわぬことは、自明の理であろう。

なぜ人は先の憂いに心をうばわれ、今を充実させることが出来ないのか、また、何事が待ち構えていても、自分より大きな力がいずれは救ってくれることを信じようとしないのか。
ちょうど水の上では、すっと力を抜いて水に体を任せれば自然に浮くはずなのに、バタバタもがくほどに沈んでしまう泳ぎの初心者のように。

神よ、僕が何時もさまざまな「内憂外患」を抱えて平和がかき乱されていることはよくご存知のはずです。
もう不謹慎な言動は慎みますので、是非その「心の平和」をおあたえください、なんとかして御手にこの心をゆだねますから。
by n_shioya | 2013-03-15 22:10 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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