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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
ヒースの丘のブロンテ姉妹
先日、ミロのビーナスの腕の復元を試みたドイツの学者が、どんな形を当てはめてもさまにならない。これはすでに我々の頭の中で、理想の形が作られてしまっているからに違いない、という説を唱えたことを紹介したが、同じことが映像の世界でも言えるのではないかと気づいた。
つまり、名作の映画化がしばしば期待はずれなのは、文章の力で呼び覚まされている我々の想像の世界には、現実の映像はやはりかなわないということではなかろうか。

先日、デジタル化された往年の名画、「嵐が丘」を見て、改めて学生時代始めてみたときのいささかの失望感を思い出した。
確かに若きローレンス・オリビエはヒースクリッフを演じきっていたし、リントン役のデビッド・ニブンも悪くはなかった。マール・オーベロンがいまいちという感があったが。
だが丁度その前に僕は辞書を引き引き、Wuthering Heights(嵐が丘)を原書で読了したばかりだった。其の想いからすると[嵐が丘]はこんな生温いものではなかった。
ヨークシャーの原野はもっと荒々しく、ヒースクリッフの怨念ははるかに鬼気迫るものがある筈だった。
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その後二度ほどヨークシャーを訪れる機会があり、二度ともハワースにある「ブロンテ姉妹の館」を訪れたものである。
暗いじめじめした司祭館。
その小さい窓から見えるのは、十字架の連なる墓地。
当時は衛生状態が悪く、チフスやコレラなど流行病のたびに乳児がどんどん姿を消していったという。

この陰湿な空間に閉じ込められて、姉妹は空想の世界に浸り続け、名作、「ジェーン・エア」そして「嵐が丘」は生まれた。
そう、ここでも最大の武器は逆境に励まされた「想像力」がものをいったのである。
弟のブランウェルは憧れのパリに飛び出し、結局は成功を手にせず、ハワースに戻り、酒びたりの日々を送ったという。
名前は忘れたがそのパブで、配偶者たちがみやげ物をあさっている間に金沢医大の塚田名誉教授と二人で、ブランウェルを偲び黒ビール漬けになっていたのも懐かしい思い出である。
丁度その二度目の時はヒースの花盛りで、赤紫の絨毯がヨークシャーの荒野を覆い尽くしていた。
買い物をおえた配偶者たちと一緒に、我々は夕闇が迫るハワースの高台から、ヒースの丘を眺め続けていた。

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by n_shioya | 2013-03-28 21:00 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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