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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「五木寛之のこころ・と・からだ」
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学会参加の魅力のひとつは、特別講演として医学とは直接関係の無い分野の方のお話が聞けることである。
講演者の選択には会長の好みや人柄が反映されるが、数年前の金沢の学会では、作家の五木寛之さんだった。
彼の作品は僕の好みでもあり昔はよく読んだが、最近は「百寺巡礼」などとどうもチョッと抹香臭くなり、しばらく遠ざかっていた。
今回の講演も「こころ・と・からだ」という題で、さして期待もせずどんなことを言うかチョッと聞いて見ようぐらいの軽い気持ちだった。

だが、素晴らしいお話だった。
キーワードは「愁」の一文字である。
“物事にはすべて相反する二面がある。喜びには悲しみ、笑いには涙、楽しみには憂い。
そのどちらも人間には必要であり、たとえばどれほど美しく楽しいものでも、その裏にかすかな愁いを感じさせなければ、完璧とはいえない・・・・”
など、僕が下手に文字にするとただ理に落ちてしまうが、彼の巧みな話術は聴衆の琴線に触れるものがあり、話し終えたときには拍手が鳴り止まなかった。

“生きるためには自分の弱さを認め、自分を許し、雪に覆われた竹のようにしなやかに耐え、やがて時期を得たら、またしなやかにスプリング・バックすればよい。
それに反し堅い松の枝は、雪の重みでかえって折れやすい。金沢の兼六園の名物の雪吊りが必要なのはそのためである。” とも言われた。
これはいわば流行りの「ポジティブ思考」のアンチテーゼである。
話を聞きながら僕は早死にした弟のことを終始想って、涙が止まらなかった。

弟は、父親の強引な「ポジティブ・シンキング」のために追い詰められて死にいたった、と姉は信じそれを小説にまでしている。
その姉は物書きだが、五木さんの後押しもあって、そのむかし直木賞を受賞している、別の作品でだが。

もっと具体的に講演の内容をお知りになりたい方は、五木さんの書かれた同名の著書があるのでそちらをお薦めします。
by n_shioya | 2013-04-20 20:02 | コーヒーブレーク | Comments(3)
Commented by Kenji at 2013-04-21 01:16 x
 拝啓、写真を見てもしやと思いましたが、やはり兼六園でしたね。金沢は小生の郷里でもあります。五木寛之氏は金沢ゆかりの作家。若い頃何冊か拝読し、「大河の一滴」が印象に残っています。

 恩師が塩谷信男博士と少々面識があり、その繋がりで例の呼吸法を実践しております。お姉さまの作品も拝読しましたよ。実践する者として興味が湧いたもので。

 尚、恩師は6年前に他界。色々と反目した父親も4年前に。小生自身とうにオッサンですが、今だ父親・恩師の足元にも及ばず人生を彷徨う毎日です・・・。
Commented by n_shioya at 2013-04-23 21:01
Kenjiさん:コメント有り難うございます。恩師とは何方でしょうか?
Commented at 2013-04-24 00:25 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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