ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
銀の匙
年取ってからの楽しみの一つは、“回想”にある。
それまで無我夢中で走り続け、ちょうど車窓の風景のように、切れ切れに飛び去っていった過去の想念を、丹念に手繰り寄せて反芻する時期でもある。
若いころの愛読書を読み返すのも、その一つといえる。
それが自伝か回想記なら、尚のこと興味は深く、己の回想も深まる。
b0084241_2131239.jpg

一冊の本といわれれば躊躇なく中勘助の「銀の匙」をあげてきたが、加賀乙彦氏もこう書いている。
“何度も読んでいる。読むたびに見どころが少し違って、何らかの発見があったと思う・・・
記憶の底にあったものを、そっと取り出してくる回想記なのだが、決して大人の高みから見下ろしている、整理された説明調の文章ではない。子供の心情に入り込み、その身になりきってしまい、今始めて体験するような驚きと臨場感に満ちている。これが、他にいくつもある幼年記や少年記と違う、この本の独創である。“

確かに。
そして加賀氏はこう結んでいる。
"そして思い出すに値する子供の時代を持つ人は、それがどんなに不幸な思い出であろうとも、幸いな人なのだ。子供の時代を生き生きと思い出して、人生の原点を知ることは、人が挫折したとき、病気になったとき、何よりも老いたときに、すばらしい癒しとなる。
「銀の匙」を読むと至福の感情を覚えて、慰められるのは、そのせいであろう。”

加賀先輩にこういわれると、老年期の幸せは“回想”も含め、“心のゆとり”にあるのではと悟らされる。
アンチエイジングも結構だが、「不老不死も夢ではない」とか、「百歳まで生きる為のダイエット」だとか、表面的な手段だけに終始すると、味わい深いはずの老年期をいかに浅はかなものにしうるか、改めて考えさせられる。
[PR]
by n_shioya | 2013-06-11 21:32 | アンチエイジング | Comments(2)
Commented by 坂本清 at 2013-06-12 12:30 x
毎日毎日、若くなる方だとか百歳まで生きる方法等々がはびこる昨今ですが、先生の本日のブログで頑張って老いる原点のヒントをいただきました。ありがとうございました。
Commented by マッツ at 2013-06-14 09:14 x
うかつにも知りませんでしたので、さっそく丸の内で買い求めました。読み進めるうちに、ほのかに幼年時代がよみがえってきます。

慌ただしい日常では味わいきれないので、夏休みに残りをとっておくことにします。


<< 死を待つ患者 内助の功とは? >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム