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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
ト調のメヌエット
実は今まで隠していたが、あることがきっかけで旧制高校に入った年、一年間ピアノを習ったことがある。
近くの従妹の家のピアノを借りて、ひと夏でバイエルをあげてしまい、“あら、こういうピアノの練習もあるのね”と叔母に呆れられたものである。
叔父には、“ピアノは叩けば音が出るからいいよ、バイオリンならそうはいかんがね”と厳しいお言葉をいただいた。
一つ下の従姉妹はスラリとした理知的な美少女で、議論では僕はいつも言い負かされていた。
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そしてチェルニーに進んで、最初にいただいた曲が「ト調のメヌエット」だった。
その年で学制が変わり旧制高校は廃止になり、新制大学の入試を受ける羽目になり練習は中断したが、無事東大に合格し、またピアノを再開しようと意気込んで従姉妹の家を訪ねたのがその年の夏だった。
ところが玄関に出てきた叔母が“今日は悪いけど帰って頂戴”と泣きながら言う。
数日前、従姉妹が湘南海岸で入水自殺したという。
その前から、“自分も東大に行きたい”と云いつのるので、前日に“東大なんか女の子のいくところじゃありません”とさとしたら、パット家を出ていってしまったそうな。
暫くはピアノを弾かせてもらうのもためらわれ、その後僕は医学部に進み、「ト調のメヌエット」を最初で最後に、ピアノ練習から遠ざかってしまった。
もう半世紀以上も前の話である。
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by n_shioya | 2013-09-28 20:43 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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