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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
キリストと自由の女神
「自由の女神は南を向いて立っている.」とジムがグラスを片手に話かけてきた.
「そしてお前,ブラジルのあれ覚えてるだろう,あのコルコバードのキリスト.あれはリオ・デ・ジャネイロで北を向いて手を広げてる.何故かわかるかい?」と謎をかけてきた,
「いや」とあっさり降参する.
「詰まりだな,自由の女神はキリストに向かって,私のお腹の赤ちゃんをどうしてくれる?と迫っている.そしてキリストは両手を上げて憮然としてるのさ.」とジムは嬉しそうだ.
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イースト・リバーを南に下った我々の船は,マンハッタンの突先で針路を西に向け今その女神に近づこうとしている.
ジムはウォールドルフ・アストリアで開かれている国際美容外科学会の会長で,コーネル大学の形成外科教授である.今宵は遊覧船を借り切っての会長招宴。
一度は見るべきと会長が勧めるだけあって,馴染み深いマンハッタンの夜景も船上から眺めれば,浮かぶ不夜城といった壮観である.国連ビル,今は消えた世界貿易センター.そしてあれは勿論エンパイヤ・ステート.皆思い思いにイルーミネーションに飾られ,その輝きを水面に映している.

三十年前.若いフルブライト留学生として見たマンハッタンは抜けるような青空に林立する摩天楼の群れだった.
当時私は日本に帰る意志はなかった.いずれは移民のビザに切り換えて,永住権をとるつもりだった. マンハッタンにある大学病院はみな高層ビルである.コロンビア,コーネル.その立派な建物を見上げながら,これからどう自分の運命が開けていくか,胸を踊らせたものである.

キャビンにはビュッフェ・スタイルのディナーが用意され,グラスにシャンペンがつがれていく. 飲み,食い,談笑する仲間たち.その中には留学生として渡米し、そのまま移民として居ついた昔の同僚もいる.複雑な気持ちで僕はコートを羽織ってデッキにでた.
船はぐんぐんと女神に迫っていく.下から見上げる女神はなかなか雄大だ.右手にトーチを掲げ,すっくとハドソン川の河口にたっている.たしかにおなかはふっくらとして,子供の一人や二人は充分宿していそうだ.
昔船でニューヨークに近づいた移民にとっては,さぞ暖かく迎えてくれる母親のように見えたことだろう. やがて船はゆっくりとUターンし,女神の像をあとにして南下し始めた.
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by n_shioya | 2013-12-20 19:08 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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