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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
ちびた鉛筆
僕の母親は「奈良の女高師」出の誇り高き女性だった。
「お茶の水」もプライドでは負けない存在だが、「奈良」は八世紀の古都としてそこに学んだ者に、新参者の首都には比べものにならぬ根強い誇りを与えたようである。

その勝気な母にとって、競争心の全く欠如した息子は、まことにふがいない存在であったろう。
彼女のしつけは厳しかった。
“一番でなければビリと変わりない”
ならビリでもいいじゃないか、と手を抜くと、敵はからめ手から攻めてくる。
“駄目だと思って始めから投げちゃいけない。全力を尽くせ。そうすればたとえ結果が悪くても,やれるだけやったと諦めがつく。
そうでないと、やれば本当は出来たなどと、卑怯な逃げ口上を吐くようになる。”
ごもっともだがこれでは逃げ場がない。

b0084241_18401993.jpgそのような厳しい躾の中で、一つだけ素直に受け入れたものがある。
あるとき、ちびた鉛筆を捨てようとした。
“まだ、使えます!”と雷が落ちた。
まだ、日本があの狂気の侵略戦争を始める前で、物資が不足していたわけではなかった。
其の2センチほどの鉛筆の片方に、母は紙を巻いて指で挟めるようにして、自分で字を書いて見せた。
そして僕はその鉛筆を芯のほとんど最後まで使い切った。
物を大事にすることは、自分の心を大事にすることになると悟ったのはそれからしばらく経ってからである。

その、「物を大切にする心」を失ったのは、アメリカでの効率一辺倒の「使い捨ての文化」の影響もあったことは前に記した。そして紙をホッチキスで止めても、紙の痛みを感じなくなった事も。

そして今、時折鉛筆を使うたびに、母の厳しかった教えの数々が新しい衣をまとって、鮮やかによみがえってくる。
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by n_shioya | 2013-12-26 18:40 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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