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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
銀の匙
“それで先生の一番好きな御本は?”
バラのフレーバーのシャンパンカクテルを飲みかわしながら、彼女は聞いてきた。
“それは中勘助の「銀の匙」”
僕はとっさに答えた。
“どんなお話?”
“ふむ、それは作者が自分の子供時代の思い出をつづったもの”
それだけでは何の説明にもならないので、和辻哲郎の解説を引用した。
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「銀の匙には不思議なほど鮮やかに子供の世界が描かれている。しかもそれは大人の見た子供の世界でもなければ、また大人の体験の中に回想せられた子供時代の記憶と言うごときものでもない。それはまさしく子供の体験した子供の世界である。子供の体験を子供の体験としてこれほど真実に描きうる人は、(漱石の語を借りて言えば)、“実際他に見たことがない”云々」

そこで僕のもっとも好きな一節。
主人公の兄は彼を厳しくしつけようとした。
散歩のとき、彼が自分の思いに耽っていると
“「何をぐずぐずしている」という。はっと気がついて「お星様を見てたんです」
というのをききもせず「ばか、星っていえ」
と怒鳴りつける。あわれな人よ。なにかの縁あって地獄の道ずれとなったこの人を 兄さん と呼ぶように、子供の憧憬が空をめぐる冷たい石を お星さん と呼ぶのがそんなに悪いことであったろうか。”
その後もいさかいは続き、ついに主人公は兄とのつながりを断つことになる。

「チボー家の兄弟」も似たところがあった。
兄アントワーヌは理性的というか、冷徹な現実主義者。弟のジャックは理想に燃える熱血漢。その対比がまた見事であった。
とかく兄と弟はそういうものらしい。

“で、先生の場合は?”
シャンパンを飲みがら、彼女いたずらっぽく聞いてくる。
だがこのブログの書き手である兄が、30年以上前に亡くなった弟に対する仕打ちについて振り返るには “今少し猶予がほしい”と勘弁してもらった。
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by n_shioya | 2014-02-15 17:04 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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