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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
外科医誕生!
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さしたる目的意識もなく医学部に入ってしまった僕は、トコロテン式に卒業させられても、本気で医者をやるつもりもなく、かといって今更ほかの職業にもつけず、行き悩んでいた。
その僕を救ってくれたのが、ジャン・コクトーの名画、「オルフェ」だった。
疾走するオートバイで映画は始まり、次は手術場の場面になる。
手術を終えた外科医が手袋を脱ぐ。薄いゴムの手術用のグラブが、ピッと手首から裏返しにはずされる。その手袋が翻転するとき、画面は暗転し黄泉の世界へ場面は移る。
大昔のことで記憶は定かでないが、こんなような出だしだった様に思う。
小道具としての手袋の発想もさることながら、外科医が手袋を脱ぐさまがいかにも格好よかった。これで、僕の進路は決まった。「外科医の卵」が誕生した瞬間である。

人の運命など、些細なことで決まるものだ。いや、僕が単純に軽薄だっただけなのかもしれない。
改めてコクトーを見直すと、やはり彼はまれに見る多彩な才能の持ち主だと思わざるを得ない。
ピカソと比べてみよう。確かに彼の天才は縦横無尽に絵画の世界を駆け巡ったが、その多彩さはあくまで造形の世界の枠内だったといえる。
コクトーの場合、たとえそれが絵画であっても、造形の約束事にはとらわれず、自身の詩の世界を描き出す。そしてその活動はバレー、映画、演劇と多岐にわたっても、それぞれのジャンルにこだわらずに描き出していく。
それは多少妖しい、独自の耽美の世界である。
以前フォンテンブローを訪れた際、足を伸ばして彼の住まいだったミア・ラ・フォーレを訪ねたことがる。小さな礼拝堂の壁は、伸びやかな彼の絵筆で、見事に飾られていたのが懐かしい。
ま、素人の下手な美術談義は無視してくださって結構。
確かなのは、ジャン・コクトーのおかげで僕は外科医になれたということである。
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by n_shioya | 2016-01-06 20:48 | コーヒーブレーク | Comments(0)


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