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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
絶品のチキンカチャトーラ
空から見るオルバニーはがっくりくるようなド田舎だった.
ハドソン川のへりにちょちょっとビルが立ちならび,申し訳程度に回りを住宅街が取り囲んで,あとはもう唯の野っ原である.
その外れにすっと一筋,バリカンで刈り込んだようなランディング・ストリップが,オルバニーの空港だった. ブルブルンと翼をふるわせて,僕の乗ったモホーク航空の双発のプロペラ機はその滑走路に着陸した.
空港には先輩のフルブライト留学生の日本人が三人,出迎えに来てくれていた.
その夜は三人で歓迎会を開いてくれた. チプロというイタリヤ・レストランだった.
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下町のイタリヤ移民の多い一角にある薄汚い二階屋で,がたぴし階段をのぼった板の間に粗末な椅子とテーブルがおかれ,我々だけで満員御礼となってしまった.
編んだ籠に包まれたキアンティの空き瓶が天井から一杯ぶら下がっている.
未だ日本でピザがはやる遙か昔である.イタリヤ料理といえばスパゲッティしか知らなかった僕は,アンティパスト,ミネストローネと次々に運ばれる皿にすっかり感激してしまった.
なかでもチキン・カチャトレは女将が自慢するだけあって,舌が蕩けるような素晴らしさだった.
中華料理とイタリヤ料理は汚い店に限る,という僕の偏見は此の時以来のものである.
こうしてその後八年間,チプロは僕がオルバニー留学中の八年間、もっとも足繁くかよった店の一つとなった.
帰国後10年ほど発ってから,今度はジェット機も停まるようになったオルバニーを訪れた僕が,真先に駆けつけたのはそのチプロだった.
だが懐かしいあの猥雑なイタリヤ移民街からチプロは姿を消していた.
あれはね,と近所のイタリア人がそっと耳打ちしてくれた.オルバニーで最も非衛生的な店だからって,市の御役人に閉鎖させられましたよ、と。
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by n_shioya | 2016-01-12 22:52 | 食生活 | Comments(0)


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