ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
give me chocolate!
b0084241_20525582.jpg

あの日のことは今でも鮮明に覚えている。
東京大空襲の後、僕は父の田舎の宮城県の白石に家族で疎開していた。
 米軍の本土上陸も間近いということで、我々中学二年生は毎日竹槍の練習にかり出されていた。配属将校は我々を国道沿いの雑木林に連れ込み、
”あの国道にアメリカの戦車が現れたら、飛び出してって突き殺してやるんだ。いいか、わかったな”
“はい”
という毎日だった。
 だが幸い、その前に日本は降伏した。お粗末なラジオで、雑音がガーガーと入り、天皇の声もうわずってとぎれとぎれで、かろうじてアナウンサーの、「国体は護持されました。しかし我が国は和を乞うたのです」と言う解説で、ああ、日本は負けたんだ、とわかったくらいである。
 一寸した虚脱感と言うか、ああ、これで助かったんだという解放感が体中からわき出てきたのは、それから一寸間をおいてからだった。
 その日、空は青空で、日の丸を付けた戦闘機が一機、「デマに惑わされるな、最後まで戦うぞ」と言うアジビラをまいていった。やっぱりそんなうまい話はないかと、一瞬、がっくり来た覚えがある。
 その鬼畜米英は、ジープに乗ってさっそうと進駐してきた。後ろにトレーラーをつけて、後から後から仙台方面へと、泥道の国道を疾駆していった。
疎開先から戻った東京は焼け野原であった。そして銀座4丁目の交差点では、背の高いMP(憲兵)がかっこよく手を振りながら交通整理をしていた。そして街じゅうにあふれたGIが餓死寸前の子供達にチョコレートやチューインガムをばらまいてくれた。
 その鬼畜米英に、我々が初めて使った英語は、“give me chocolate”だったのは言うまでもない。
そして今、バレンタインを前にして、こんなセリフをアップするのは我ながら浅ましい限りである。
[PR]
by n_shioya | 2016-02-09 20:53 | コーヒーブレーク | Comments(0)


<< 教養主義の復権 チャイナドレスと帽子 >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム