ウーマンエキサイト ガルボ Exciteホーム | Woman.excite | Garboトップ | Womanサイトマップ
ガルボウーマンエキサイト
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
父と子
今週は暑さも異常なら、交通渋滞も異常である。

普段なら一時間かせいぜい一時間半でつけるはずの相模原まで二時間もかかってしまい、約束の時間に大幅に遅れてしまった。
其の後、バーリントンハウス馬事公苑に向かったが、またまた大渋滞で二時間かかってしまった。
考えてみれば来週はお盆。其の前の都内のラッシュかもしれない。

馬事公苑の緑を見て、昔読んだルナールの短編を思い出した。
「公園を散歩してると、男が二人前を歩いていく。若い男と年配のと。ただ黙々と歩き続け二人の間には一言も会話がない。あれはきっと父親と息子に違いない。」
と言った文だったと思う。

僕と親父も似たようなものだった。
親父は元来語彙に乏しかった。
なんについても、阿呆だ、下らんの二種類ほどしかなかった。晩年外国旅行をするようになり、バンフやセントアンドリュースなど、名コースを回るようになると、初めて素晴らしいと言うのが語彙に加わるようになった。

親父は僕にゴルフをさせたがったが、僕は逃げ回った。だから僕は阿呆で下らん息子だった。
元来運動が苦手と言うこともあったが、ゴルフのお陰で家族は親父と顔を合わせることが殆どなかったので、僕はせめて休日ぐらいは家族と一緒に過ごしたかったからである。

子供たちも巣立って75歳のいま、あることがきっかけで一月ほど前から、ゴルフの練習を始めるようになり、親父のことを思い出すことしきりである。

100歳までは現役ゴルファー。毎週一回は熱海から一人で電車にのって、三島のゴルフ場に行き、ちゃんとワンラウンドして帰ってくる。
4年前の100歳の夏は、いまとおなじように猛暑が襲った。
其のときである、初めてハーフで帰ってきたのは。
そして“おい信幸、暑さが堪えるというのは俺も年かも知れん。”とのたまうて皆を呆れさせた。
自分でゴルフを始めて、改めて100歳の現役ゴルファーと言うことの意味を実感している。

だが其の直後である。マンションのエレベーターに倒れているのが見つかったのは。
残念ながらそれ以来療養生活に入ってしまった。

そのほか、玄米菜食、大気汚染への警鐘。親父は何時も阿呆で下らん人々の一歩も二歩も先を行っていた。

親父、あんたは偉かったよ、と言っても、高度の認知症の人間にはもう通じない。
だがもし通じるような状態だったら、やはり僕は口をつぐんでいるだろう。
ルナールの言うように、それが父と子の宿命のようだから。
[PR]
by n_shioya | 2006-08-10 23:47 | コーヒーブレーク | Comments(0)


<< 七回目のキレーション モイストヒーリング >>


woman.excite TOPへ Copyright © Excite Japan Co., Ltd. All Rights Reserved.
免責事項 - 会社概要 - ヘルプ | BB.excite | Woman.excite | エキサイト ホーム