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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
女を見たら妊娠と思え
もし医師がつわりで苦しんでいる妻を、妊娠と気づかず精神科医に送ったとしたら?
実はそれを僕はやってしまった。以来、配偶者は会う人ごとに我が家は無医村ですので、と言い続けている。

50年ほど前、アメリカで結婚した僕は大学病院でで研修のまっさ中で、ハネムーンもそこそこに連日徹夜の勤務をつづけていた。
配偶者がづつうと吐き気を訴えてきた時、脳外科医を目指していた僕の頭には妊娠という考えはひとかけらもなかった。
うるせえな、(このアマとは言わなかったが)でも脳腫瘍で脳圧高進でもしてたらヤバイ、と神経科に送ったのである。
相手も専門馬鹿である。神経症状やご丁寧に腰椎穿刺で脊髄液まで検査し、異常は見つからないという。
“先生、奥さんは妊娠ですよ。”といったのは看護婦である。
“そんな馬鹿な!”
と怒鳴ったが検査してみると立派に妊娠反応陽性である。
“どうして分かった?”
“だって酸っぱいもの欲しがるんですもの。”

学生時代、女を見たら妊娠と思えとは、産婦人科の講義のショッパナで教わっていたにもかかわらず、結婚したら子供が出来るということすら忘れていた僕だが、生まれてみれば可愛いものである。
カトリックだからというわけでないが、素晴らしい宝物を神様から授かったと二人で感謝した。
その宝物は自分のもでなく、神さまからお預かりしたという感じだった。

ただ困ったのは当時のレジデントの月給は100ドルに満たない。其の頃300ドル以下は生活保護のレベルだった。
でも神様、貴方が預けてくださったのなら、養育費を出すのも貴方の義務ではないですかと開き直った。
こうして一セントを数える毎日のなかで、子供だけはすくすくと育ってくれた。
慈悲深い神様はもっともっとと五人まで子供をを授けてくださり、それなりの養育費も与えられ、皆結婚してひとり立ちするまでになった。

もし僕等があの時、生活にゆとりが出来たらなどと考えていたら、決して一人の子供も持てなかったろう。
何時までたっても二人だけの生活が優先したのではなかろうか。
又おそらく、子供は天からの授かりもの、という実感も生まれなかったかもしれない。

子供というのは其の子に与えられた目的のためにこの世に生まれて来るので、親の都合によって勝手に造ったり、中断したりするものではないというのが、見事に誤診したときからの僕の確信である。

近着のニューズウィーク誌少子化が世界的な問題で、いまやイタリヤやインドのような家族主義の国にまで波及しているとの記事を読み、いささかの感慨を覚え、神の摂理にまで思いを馳せた。

と、傍で女性誌の星占いを読みふけっていた配偶者が叫んだ。
“ちょっと、ちょっと。ここに出ている射手座の性格、貴方にぴったり。
絶えず走り回って、しりが落ち着かず又、自制心に乏しく子供がボロボロ出きる、ですって。“
これだから女は困る。
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by n_shioya | 2006-09-04 23:29 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented by ぴよ at 2006-09-06 14:23 x
塩谷先生の文章が大好きで、livedoorのころから欠かさず読んでいます。
「どうぞ気軽にお寄せください」と書かれてもなかなか送れないのがコメントというもの。
勇気を出して初コメントです。

4日の文章、おもしろかったです。
今まで読んできた中で、一番大笑いしてしまいました。
笑わされつつも途中胸にジーンと来るものもありつつ、けどまた最後に
笑わされて、ますます塩谷先生のファンになりました。

これからも素敵な文章を書き続けてください。
毎日楽しみにしています。
Commented by n_shioya at 2006-09-07 23:06
有難うございます。
例え悪口でもコメントはありがたいものですが、気に入っていただければ、ブロガー冥利これに勝るものはありません。


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