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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
毛根を増やそう
今週末と来週末と続けて毛髪の研究会があるが、どちらも野暮用と重なって出席できない。今日のは毛髪科学研究会といって皮膚科や基礎学者の会で、来週の会は開業医中心で植毛の研究会である。

僕も毛の研究には30年近く関わってきたが,そのきっかけをつくってくれたのはアートネーチャーである。
その頃は毛根再生といっても誰も相手にしてくれなかったが・・・

以下は当時の思いで出をつづった一文である。
「ある時私の研究室に一風変わった人物が顕れました。 アートネーチャーの開発部長Tですが。と名乗るやいなや、 “先生、毛根を増やして下さい。”といわれます。
また、なんで突然に?かつらがあるじゃないですか。 かつらはかつらでわが社の大切な商品ですが、先生、将来はやはり自前の毛が増やせないと。 と50台でしょうか、よれよれのネクタイの小柄な開発部長は大変に熱心です。
そんなの簡単だよ、と私は無責任に口走ってしまいました。 古来、外科医というのは単純で、いささか無謀で、ハッタリのきいたところがあります。
しかし、簡単といったのは、全くのでたらめではありません。 当時我々の教室では、熱傷患者の治療の目的で、吉里助教授(現広島大学教授)をリーダーに、培養皮膚の研究を進めていました。 火傷の患者から残った皮膚の一部を取り、細胞をばらばらにして増やし、本人に戻す。つまり皮膚の体外での促成培養と移植です。

ところが、ほんの僅かの差で、ハーバードのグループに先を越されてしまいました。独自の手法で培養法を開発し、しかも98%の火傷の子供を救うという快挙を成し遂げたのです。
しかし当然のことながら、培養した皮膚にはが生えません。よし、我々は毛で行こう。と吉里グループと話し合っていた矢先だったのです。

叉私には、フランスの国立園芸研究所で、長年、植物の培養を専門にしてきた従兄弟がいます。彼の話では、植物ならば、一つの個体を切り刻むと、その破片からそれぞれ、完全な個体が発生するということです。つまり、蘭など、こうしていくらでも増やせるのだそうです。

そこで私はTさんに、 “何、毛根てのはラッキョウみたいなもので、まあ、細かく分割して培養すれば、増やすことは出来ますよ、相当な期間と十分な研究費が必要ですがね。” “いや、いくらかかっても構わんです。”とTさんは嬉しいことをおっしゃいます。
いくらかかっても
と言うTさんの言葉を、私どもは期間と研究費と両方を意味するものと、都合よく解釈し、北里とアートネーチャーの共同研究体制がスタートしました。」
これが30年ほど前のことである。

T部長には申し訳ないが、依然として毛根培養は実用化していない。今回の研究会で、どこまで進展したか現状を知りたいところだが。
by n_shioya | 2006-12-02 12:10 | ヘアケア | Comments(0)


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