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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
ニューヨークの長男からフォトアルバムのブログを開設したから見てくれと、メールが入った。
ところがソフトの関係か、真っ白な枠が並んでいるだけで、フォトらしきものは開けない。 が、本文の最後に、カークが亡くなったと書かれていた。 このところ訃報が続く。 カーク・スタットランダー。 もう、結婚だの出産だのより訃報が増えても仕方がない年だが、アメリカ留学時代にもっとも親しかった友人で、8年間の家族ぐるみの付き合いだった。 奥さんのマーリーンは数年前になくなったが、若い頃はマリアカラスから険を取ったたような美人だった。 ニュージャージー州のジャージー市のさして裕福でない家庭に育ち、オルバニーでレジデントを終了後は、同じニュージャージーのモンクレアで開業し、精神科医として成功を収め故郷に錦を飾ったといえる。 高校卒業後スイスにわたり、ローザンヌの医学部を卒業してから、ニューヨークに戻り、オルバニーでインターン生活をはじめ、そこで同じインターン仲間として、僕は知り合った。 ヨーロッパでは完全に彼の地の文化の虜になったようである。 人は誰でも二つの故郷を持つという、生まれ故郷とパリと。 彼も完璧なフランコファイル(フランス狂)だった。 フランス人は人生の楽しみ方を知っている、例え金がなくても。というのが口癖だった。 フランスから持ち帰った小さなコーヒー沸かしで、エスプレッソを入れるのは彼の食後の儀式でもあった。 “美味い””というと“どんなに?”と形容をせまる。 “セレスチアル!(天上の味)”といってやった時のパッと輝いた彼の顔はいまでも覚えている。 一緒にキャンプもした。 コネティカットのストラットフォードというビーチにテントを張り、昼は海水浴、夜は交代でベーベイシッターをしながら、本場のアポンエイボンを真似したシェークスピア劇を楽しんだものである。 こうして僕は又かけがえのない友に先立たれた。 今古いアルバムを探すに、彼の写真が見つからぬ。代わりに昔の僕のつたないスケッチを彼の霊前に捧げる。
by n_shioya
| 2006-12-03 16:39
| コーヒーブレーク
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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