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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
リア王
b0084241_1165486.jpgまるで打ちのめされたように、パソコンのキーボードを前にただ呆然としている。
さいたま芸術劇場で蜷川演出の平幹二郎の「リア王」を見て、帰宅したところである。
だが何を書いていいか,思いは千路に乱れ、今の僕はまるで錯乱したリア王そのままである。

筋はよくご存知でしょう、リア王が自分を本当に愛している末娘を一時の勘気から勘当し、姉娘二人の甘言にたぶらかされて、王位と領土を手放し、挙句に捨てられてしまう。
老いた両親を兄弟で盥回しにしたり、それも相続がらみでなど、真に現代的な問題提起といえないこともないが、これでもかこれでもかと邪悪な人間の性(サガ)を抉り出すあたり、鬼気迫るものがある。

リアと三人娘をめぐる主筋と照応して、グロスターと二人の息子をめぐる副筋が展開して行く。
リアもグロスターも、実の子供に裏切られ、自分が勘当した最愛の子に助けられ、どん底の中でその子の愛を知った挙句に絶命する。

「リア王」の中には実にさまざまな筋立てモチーフが含まれ、読む人によっていろいろな解釈が可能だと思うが、今の僕の感じでは、それら個別の問題は小道具に過ぎず、シェークスピアが描こうとしたのは、 “悲劇”そのものではなかったかと思う。

あえて絞り込めば、「神にとって我々人間は、腕白どもに捕まったハエに等しい、面白半分になぶり殺される」というグロスターの台詞になるだろうか。
これはゲーテがウィルヘルム・マイスターの中で琴引きの爺さんに言わせている「神は慰み半分に人間をお造りになって、後は知らん顔だ」という台詞と同根である。

ま、それはともかく今の僕には、子供たちに分け与える財産もないし、したがって裏切られる心配もないのがせめてもの救いである。
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by n_shioya | 2008-01-30 22:41 | コーヒーブレーク | Comments(2)
Commented by 山路純平 at 2008-02-01 04:22 x
塩谷信幸先生へ

素敵な、作品ですね。

お金は、大切です。
でも、親として、生き様を見せるのが、子供にとっての
1番の財産ですよね。

子供は、ちゃんと、見ています。

Commented by n_shioya at 2008-02-01 11:21
山路さん:
ちょうど隣の席におられた中年のご夫婦の奥さんのほうが、芝居の間中ブツブツ言ってるのが聞こえてきて、いささか滑稽でした。
“まあ、ひどい!”とか、“ああ、見るに耐えない。”とか、どうも同じような問題を抱えておられるようでした。
ご自身がコーデリアの立場なのか、姉姉妹なのかは定かでありませんでしたが。


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