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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
硫黄島に死す
国家の品格」を読んだ。
何も改めて言うことはない。
ただ“品格”についてはこう思う。
何か抽象的な文言を並べるよりは、“品格”を感じさせる人物像を具体的にイメージしたほうが良いのではないだろうかと。

b0084241_940207.gifこれにこだわり続けたのが城山三郎だと思う。

男子の本懐」の浜口、井上。「落日燃ゆ」の広田弘毅等々、枚挙にいとまないが、僕が最も好きなのは西中佐を描いた「硫黄島に死す」である。
このところ、梯久美子の「散るぞ悲しき」や日米合作の映画で栗林中将が話題の中心になったが、城山三郎は「硫黄島に死す」という50ページほどの短編で、西中佐の魅力的な生き様を見事に描ききっている。

古典に範を求めれば、「ベニスの商人」のアントーニオなど如何でしょう。
商人道”を守り、しかも友のためには自分の命も差し出そうとする。
ちなみにタイトルの「ベニスの商人」を僕は、教養学部で朱牟田先生から“これはアントーニオを指しているのですよ”、といわれるまで、うかつにもシャイロックとばかり思い込んでいた。

だが、僕としてはやはりどうしてもシラノをイメージしてしまう。

彼のいまわの時の台詞を辰野、鈴木の名訳から拝借すると:
「ウン、貴様たちは俺のものを皆取る気だな、桂の冠も、薔薇の花も!さあとれ!だがな、お気の毒だが、貴様達にゃどうしたって奪りきれぬ佳いものを、俺ゃあの世にもって行くのだ。それも今夜だ、俺の永遠の幸福で蒼空の道、広々と掃き清め、神のふところに入る途すがら、はばかりながら皺一つ汚点一つ附けずにもって行くのだ、
   (彼は高く剣をかざして躍り上がる)
他でもない、そりゃあ・・・」
   (剣は彼の手から離れ、彼はよろめいて、ル・プレとラグノオの腕に倒れる)
ロクサーヌ(シラノの上に身をかがめてその額に接吻しながら)「それは?・・・」
シラノ(再び目を開いて、ロクサアヌを認めて、かすかに笑いながら)「私の羽飾り(こころいき)」だ。
                                
                                幕、大団円
でもそれは“品格”ではなく“心意気”では?
いやその“心意気”を、われわれは“格”として受け止めるのではないでしょうか?
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by n_shioya | 2008-02-17 17:44 | コーヒーブレーク | Comments(3)
Commented at 2008-02-18 02:30 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2008-02-18 08:45
久道先生:
シェークスピアに限らず西洋の詩に関して言えば、日本語では、リズム(韻律)とライム(韻をふむ)がないので、翻訳に苦労するのだと思います。
たとえばハムレットの有名な台詞
「Frailty,thy name is women.]
も、訳せば
「弱きものよ、何時の名は女なり。」
となり、原文の躍動するリズム感が失われ、何か間延びしてしまうような気がします。
日本語にはやはり俳句や和歌のような、七五調が合ってているのかもしれません。
Commented by valkyries at 2008-02-18 09:11 x
先生、シラノの最後のセリフですが、旺文社の岩瀬孝訳版では「俺のハナ飾りさ!」とシャレで締めくくっています。このように辰野・鈴木訳に比べ岩瀬訳は平易で読みやすいのが特徴です。
ところで最近の出版業界では空前の新書版ブームらしいですね。
「数が増えれば質が落ちる」のは経済の基本ですので、最近私は書店に行っても新書版コーナーには立ち寄らないようにしています。



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