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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
たそがれのパンケーキ
マカンバーワンそしてエリオットの三人は、それぞれオルバニー総合病院、セントピータースそして退役軍人病院を根城にしていた。

レジデントは常時三人いて、一人ずつ三つの病院に配属され、三カ月毎に交代した。
全員毎朝、7時にセントピータースに集合する。前日の報告と、当日の役割分担を確認すると、オルバニー組と退役軍人組はわかれて、それぞれのでの八時の手術スタートに間に合うよう、病院に向かう。セントピータース組は残ってやはり八時から手術を開始する。

土曜日は総回診の日である。
七時にセントピータースに全員集合し、そこでの回診を終えると、オルバーニー総合病院そして在郷軍人病院へと、ニュースコットランドアベニューを練り歩く。
マカンバーの黒のキャデラックを先頭に、ワンの銀のビュウイック、続いてエリオットの赤いクライスラー、その後をレジデントの三台のポンコツが、排気ガスを吐き散らして追っていく。
この六台の大名行列は、毎土曜市民の目を楽しませるページェントだった。

レジデントは三人なので、当直は三日に1回である。当直の晩は三つの病院をカバーするので、病院には泊まらず、自宅で待機するのが許された。
しかし、ほとんど毎晩、どちらかの病院に呼び出され、当直の晩は自宅でゆっくりできることなど、まずなかった。

オルバニーは冬が長い。零下10度、20度の凍てつく寒さもしばしばである。しかも十二月から四月まで、雪と縁が切れることは余りない。
夜半過ぎ、電話で起されて救急室に向かうとき、凍り付いた路面を走る怖さは、東京住まいの方々にはわかるまい。
何時自分自身が救急室のお世話になるかといった、雪国ではいちいちチェーンを巻くことはしない。冬中スノータイヤを穿きっぱなしにする。僕はレジデントのなかでもとりわけ貧乏だったので、そのスノータイやも穿いてなかった。

何時頃からか、夕方仕事が一段落したところで、レジデント三人で近くのパンケーキ屋に集まるのが、習慣になった。
当直の奴に患者の引き継ぎをする、というのが表向きの理由だったが、実際はマカンバー達、いわゆるアテンディングに対する不平不満をぶっつけあい、何時間もおだを上げることが多かった。
要するに、日本のサラリーマンの赤ちょうちんのアメリカ版である。
俺達の気持ちを理解してくれない、とか待遇が悪すぎるとか、約束が違うとか、俺ならこうするのにとか、ようするに焼酎パンケーキになっただけで、使われるものの心理は、不満はけ口は洋の東西を問わないものだ
by n_shioya | 2008-04-12 00:45 | 医療全般 | Comments(4)
Commented by 山路純平 at 2008-04-13 03:29 x
塩谷先生へ

先生が経験されたことから、
学ぶことは、沢山ありますね。

勉強させていただいています。

Commented by n_shioya at 2008-04-17 22:44
山路さん:
コメント有難うございます。
自分にとっては日常茶飯事でも、他の職種の方には多少ともご興味を持っていただける経験もあるということがやっとわかってきました。
Commented at 2008-04-18 00:05 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by FXで稼ぐ情報商材 at 2008-05-19 08:37 x
こんにちは。「アンチエイジングブログ! : たそがれのパンケーキ」の管理人様。いつも面白い情報をありがとうございます。次の更新を楽しみにしてます!


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