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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
不老不死
b0084241_7142210.gifアンティエイジングといっても,われわれが目指すのは「不老不死」ではない。
不老不死といえば僕はガリバーを思い出す。
今日の学会の特別講演で、立花隆氏も一言ガリバーに言及されたので、僕なりに解説を試みよう。

ガリバーというと、“小人の国”とか“大男の国”とか、子供のおとぎ話のように取られているが、実は、ガリバーの著者のスイフトは稀代の人間嫌いで、あの旅行記も実は痛烈な社会風刺の物語なのだ。

中でも極めつけは「馬の国」の物語だが、実は、今ひとつの「飛ぶ島」の話の中に、この本と関係深い「不老不死」の話がでてくる。

その国、ラグラダには時折、不死人間が生まれる。額に赤い斑点をつけて生まれるのですぐわかるそうだ。
するとその家族はその子の不幸な将来を思い、悲嘆にくれるという。
不死身であるのは素晴らしいはずなのになぜだろう?
それは不老でないからである。

さてガリバーはラグラダ人に不死人間のコロニーに案内される。
そこで見たものは、
“永遠の若さ、永遠の健康、永遠の元気と言うものが前提”に出来ないまま、永遠の寿命だけをを与えられれば、“老齢ともなれば必ずつきまとう様々な不幸のさなかにあって、長寿をどう生き抜いてゆくかである”。と述べて、八十歳を過ぎたボケ老人の悲惨な生態を、延々と書きつづっている。

ま、詳細は岩波文庫の平井正穂氏の名訳をお読みいただくこととして、その章の結語の部分をガリバーの言葉から引用しよう。

こうして“不死人間に関するこの国の各種の法律が、全く当然と認めないわけには行かなかった。
(ラグラダでは八十歳を過ぎるや否や、彼らは法的には死んだものと見なされ、かろうじて生きていることだけが許されるのだ。)
何しろどん欲は老人の免れ得ない性癖である以上、この種の法律がなければ、この不死人間たちがやがては全国民の経済力を支配し、政治権力を掌握することになろう。
そうなった場合、彼らが経済維持の能力を欠いた人間であることを考えれば、結局は国家の破滅につながらざるをえなくなるであろう。“

これを読んだとき、某国の某政党の有り様にあまりぴったりなので、僕は慄然としたのである。
そしてまた霞ヶ関の村人の後期高齢者制度の発想に思いをいたした。

齢80を目前にした僕としても、不死の恐ろしさのスイフトの鋭い洞察、いや全く同感だ。
いかに荒唐無稽の世界を描いても,不死などという馬鹿げたことはありえないことはスウィフトだって承知のはず。
しかして80歳以降も永久に生き続けることは,結果的には究極の老衰を描いていることになる。
むしろ,不死という設定で,老化のおぞましさを浮き彫りに舌に過ぎない。

余命幾ばくかが問題ではなく、その質、今はやりの言葉では、クォリティ オブ ライフが重要なのである。
つまりこれこそがアンティエイジングの最終の命題と言えるだろう。
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by n_shioya | 2008-06-07 22:25 | アンチエイジング | Comments(4)
Commented at 2008-06-08 00:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 宇山です at 2008-06-08 02:00 x
塩谷先生、お体ちょっと心配ですが、明日(今日)9時にお元気なお姿を拝見できるのを楽しみにしております。明日は「見た目のアンチエイジング」研究会の後、アンネ=ゾフィー・ムターのコンサートを取材します。本当は塩谷先生をお誘いしたかったのですが…また今度。QOLの高い一日になりそうでなかなか眠れません。
Commented by n_shioya at 2008-06-09 20:13
山路さん:
医療崩壊のツボとは面白い発想ですね。
探してみましょう。
Commented by n_shioya at 2008-06-09 20:15
宇山さん:
アンネ・ゾフィー・ムターは今回は諦めました。
是非なにか別の機会にご一緒しましょう。


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