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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
“老化の原因”に戻って、今日は「体内時計説」。
人間の体の中に時計があって、老化という時を刻むのだという言う考えだ。 というと、ピーターパンのワニのように体内に飲み込まれた時計が、胃袋でチクタクをイメージされる方がいるかもしれないが、其れとはちょっと違う。 むしろ細胞時計説というべきで、人間の体は細胞からできているが。その細胞に寿命があるという考えだ。 事実,培養条件下で細胞は分裂を繰り返すが,ある時点で分裂は止み,やがて死滅する。 細胞が分裂するとき,核の中のDNAがまず分裂するが,そのたびにテロメアという末端部が少しずつ失われ、テロメアがある短さになると細胞分裂をしなくなる。 その状態がしばらく続くと,細胞は自壊してしまう。これがアポトーシスと呼ばれる現象である。 その意味でテロメアは細胞分裂の回数券のようなものと言える。 しかしうまくできたもので、失われたテロメアを再生するテロメラーゼと言う酵素が存在する。 ならテロメラーゼを増産させれば?と言うのは当然の発想だが、細胞が無制限に増殖するのは癌化につながるので、事はそう簡単でない。 また、実際の人間の体にはいろいろなフェーズの細胞があり,必ずしも全身の老化のプロセスと平行してはいない。 しかも個体が死んでも、表皮の基底細胞のように培養条件下で生存して、分裂を続けることも可能な物もあり、これらは幹細胞と呼ばれている。 このあたりから生命とはなんぞやと言うややこしい議論になって行く。 そのほか老化や長寿に直接、間接関係ある遺伝子の存在も分かってきているが、これは単一でなく、数百の遺伝子の発現が絡み合う複雑な現象で、その全貌の解明には程遠い。
by n_shioya
| 2008-06-30 22:23
| アンチエイジング
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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