|
NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
イギリスは時折とんでもない輩を排出する面白い国である。
たとえば芸術面なら代表格はビートルズ。 医学の世界では二重らせんのワトソン、クリック。もっとも研究が生まれた場所はケンブリッジだが、ワトソンはアメリカ人である。 古いところでは、ペニシリンのフレミング。 そして今度は本気で「不老不死」を唱えるやつが現れた。名前はデグレイ。これも所属はケンブリッジ大学だ。 この春、パリの抗加齢医学会で話を聞いて、変わった奴もいるものだと感心したが、今度その著書が手に入ったので、読み始めたところである。 題して「老化を止める七つの科学」 この七つの問題を解決すれば不老不死も可能だという。 そんな馬鹿な、というと、その偏見をまず捨てることから始めよと怒られる。 彼の考えでは老化は決して自然現象でも、人知の及ばぬ神秘的なものではないはずだという。 だからと言ってその原因を解明できないと老化と戦えないというのも思い違いだそうだ。 老化の原因は複雑で、根本的な解明できなくとも、そんなのは無視して、むしろその結果生ずる障害はいくつかにまとめられるはずで、それに対処するほうが手っ取り早いし、老化を防ぐことにつながるという。 そのまとめが彼の言う「七つの科学」である。 もちろんそれぞれの解決にはとてつもないバリヤーがあるが、結果としての老化の対処は不可能ではないというのが彼の考えである。 そして、たとえ老化に関係があってもに結果としての老化につながらないものは無視して進むべきだという。 挑発的で面白い議論だが、何か矛盾だらけの、乱暴な議論の連続である。 当人は大まじめのようだ。だが、彼は元来コンピューターの専門家であり、コンピューターの論理を生命現象に強引に持ち込んでいる感じがする。 だがすでに彼は、「メトセラ財団」なるものを立ち上げ、資金を集め、いま述べた理論に基づいた活動を展開している。 “発想の転換”という意味ではいい刺激になるが、どこまで本気で頓珍漢なのか、いかさまの確信犯なのか、はたまた本物の先駆者なのか、今後の活動と成果が待たれる。
by n_shioya
| 2008-11-01 21:38
| アンチエイジング
|
Comments(7)
Commented
by
きのこ組
at 2008-11-02 00:50
x
一歩譲ってもし本当に不老不死がありえるとしても
すべてのものは”終わり”があってこそ美しいのだと思うのですが。。。 センチメンタルすぎますか?
0
Commented
by
アヤメ
at 2008-11-02 01:52
x
先生の唱える「アンチエイジング」の根底は”美しく老いる”ということですか?それとも不老不死に近づくということですか?こんな質問失礼でしょうか?
Commented
by
ruhiginoue
at 2008-11-02 17:29
x
ぜひ、という質問があります。
『魔の山』(ちなみに菩提樹を歌うのはラストシーンです)で、主人公はサナトリウムにいる間に自分の年齢を忘れてしまい、また、一方で昏睡状態の子供も何年も経てば成長して大人になるから、時間が物質か意識かという論争が昔からあり、後者としたら年齢と意識は何か関係があるのではないかという記述があります。 いかが思われますか。
Commented
by
n_shioya at 2008-11-02 23:33
きのこ組さん:
僕自身はアンチエイジングとは、自然現象である老化といかに折り合いをつけるかということととらえています。
Commented
by
n_shioya at 2008-11-02 23:35
Commented
by
n_shioya at 2008-11-02 23:39
Commented
by
さくら組
at 2013-05-20 17:05
x
60年前、中学校の保健の先生から、肉、牛乳、おかずをたくさん食べバランスよく食事していたら健康に良いと聞きました。当時は普通の人は皆栄養失調でしたから・・・…その意味では、老化の科学は基本的には変わっていないのですか?普通の人でも90歳を超えることは可能ですか?
|
塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
以前の記事
検索
カテゴリ
全体 アンチエイジング スキンケア 医療崩壊 キズのケア QOL 老年病 介護 手術 全身療法 食生活 サプリメント エクササイズ エステティック ヘアケア 美について コーヒーブレーク 医療全般 原発事故 睡眠 美容外科 再生医療 再生医療 未分類 最新のコメント
フォロー中のブログ
ICELANDia アイ... 九十代万歳! (旧 八... ・・・いいんじゃない? 京都発、ヘッドハンターの日記 美容外科医のモノローグ ArtArtArt 芙蓉のひとりごと 真を求めて 皆様とともに... ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|
ファン申請 |
||