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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
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ルリュールの世界
どの伯父だったか忘れたが、子供のころ書斎を覗いて、立派な蔵書の中に、いかにもお粗末な装丁の洋書が混ざっていて、いぶかしく思い訳を聞いたものだ。
親父とお袋はそれぞれ6人兄弟なので、伯父、伯母そして叔父、叔母総勢20人いたわけで、その内の誰だったかは思い出せないが、答えはこうだった。
“これはフランス装と云って、仮閉じなんだ。フランス人は本を大事にするので、愛読書は買ってから、みな自分で気に入った装丁をさせる習慣がある。”と云われ、いたく感心した覚えがある。

その後、栃折久美子の「モロッコ革の本」をよみ、ルリュールの世界の奥深さを知ることになる。

そして今日、目黒の市民ミュウジアムで、「東京製本クラブ」の展覧会を覗いてきた。
配偶者の友人であるメンバーの一人からご案内をいただいたのだが、ちょうど今日は帰られた後だった。
だが、このアナログからデジタルへ急速に転落していく現代に、このようなアナクロニズムの世界が息ずいていることは、なにかほっとさせられる。
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“もしルリュールをお願いするとしたら、どんな本がいいかしら?”
突然配偶者に聞かれ、一瞬返答に詰まった。
手垢でボロボロとになった本の群れ、無いわけではない。だが、考えてみるとほとんどが文庫本ペーパーバックの類だ。
皮装の本をゆっくりと紐どいて、という優雅な生活からはこれまでほど遠かったのを悟らされた。
そして今は、活字を通り越して、グーグルからダウンロードが出来ようという時代である。

“ふむ、誰かの詩華集か、オンディーヌのような戯曲か、エッセイならモンテーニュか、いやリンドバーク夫人の「海からの贈り物」も悪くない、それとも若いころ涙して読み返したジイドの「狭き門」か・・・”
我が家で粗末に山積みにされている哀れな本達を思い浮かべ、しばしルリュールによる「活字文化復興」のファンタジーに浸っていた。
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by n_shioya | 2009-04-30 21:50 | コーヒーブレーク | Comments(6)
鎌倉散策
b0084241_9503893.jpg鎌倉はいつ行ってもいい街である。
昨日は鎌倉近代美術館、そして今日は明月院とそのそばの友人宅を訪れた。
美術館は「シャガールとルドンの版画展」、明月院の傍に住む友人は以前山手の我が家の近くに住んでいた教会の仲間である。
明月院は紫陽花寺として知られているが、まだ花には早い。

明月院の後に東慶寺に立ち寄った。縁切り寺とも呼ばれるが、今日の目的はそこにはない。
そこは小林秀雄、野上弥生子等文士の墓が多いが、墓地の一番高見のところに、向陵塚というのがあり、旧制一高の亡霊がたむろしている。
ここでは毎年、五月に向寮蔡というのが行われ、同窓生が集まって寮歌を歌いながら、墓地を一巡する。今は旧制一高も消滅して、その数は毎年減っていくだけなのは悲しい。

b0084241_951473.jpg鎌倉の山は霊気で溢れている。
あまたの名刹から霊気が湧き出ているのか、霊気があるから名刹が生まれたのか、霊気に包まれて僕の想いはルドンの絵の魅力へと飛んだ。

ルドンの絵はことに初期の黒の版画は幻想的、いや怪奇的とさえ言われている。例えば沼に一つ垂れて咲く花が老人の顔だったり、ゲゲゲの鬼太郎ではないが、一つ目が宙に浮いていたり。
だがそのあとに展開したのは、色鮮やかなパステル画の世界である。
僕が最も好きな「少女と花」の絵は勿論だが、ペガサスのような空想の世界でも、オルフェのような神話の物語を描いても、具象具象である。
だが決して写実ではない。

b0084241_1002224.jpgいったい彼は何を描こうとしたのか。
東慶寺の杉木立の中で、岸壁に張り付く岩煙草の群生を眺めている時、はたと思い当たった。
ルドンが視たのはこの霊気の世界ではなかろうか。
幻想」がリアルに感じられた時、人は「神秘主義」の世界に踏み込む。
「花と少女」にしても、いかに写実的に描かれていても、少女も花も「幻想」の中に実在している。それがルドンの「神秘主義」の魅力ではなかろうか

東慶寺を一巡し終えて、配偶者と山門わきの茶房「吉野」に入り、フルーツケーキをかじりコーヒーを啜った。
ここのコーヒーは実にうまい。
僕にとって鎌倉詣での一番の魅力はここにあるのかもしれない。
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by n_shioya | 2009-04-29 22:11 | 美について | Comments(3)
同時通訳という種族
国際学会に不可欠なのは「同時通訳」である。
今では英語が公用語に指定されることが多いので、英語と開催国の「同時通訳」が普通だが、ヨーロッパの国の場合は英、独、仏場合にはスペイン語までスウィッチの切り替えで聞くことができる場合もある。

通常の「逐語通訳」でもそれなりの訓練が必要だが、「同時通訳」となると高度の特殊技術で、彼女らはようやるわ、といつも感心させられる。
彼女らと言ったのは、どういうわけか同時通訳は、知的な美女を揃えているからである。男が少ない理由は後で述べる。

会長だの理事長だの、責任の重い面倒な仕事はなるべく遠慮させていただいてきた僕だが、「同時通訳」の補佐役は何時も買って出ることにしているのはそのためである。

まず、学会の直前に、演説原稿と照らし合わせながら、術語のブリーフィングを行う。あまり早めに行はないのは、同時通訳者の場合は専門用語は直前に頭にたたき込んで、終わったらすぐ忘れてしまうよう訓練されているからだ。

通常「同時通訳」はペアで行う。英から日へとその逆はそれぞれ別の人が行うからだ。
また一人が連続して通訳できるのは約20分とされている。それほど頭を酷使するというか、無理を強いられる。

そして本番となると、補佐役は狭いブースに二人の美女と一緒に詰め込まれる。
セクハラ男にとっては願ってもないチャンスだが、実際はそんな甘いものではない。作業中のブースの中は戦場のように殺気立っていて、手出しでもしようものなら、蹴出されてしまう。

“もしとちったら?”
すぐ今一人がとってかわる。いったん中止しないとペースを取り戻せないという。
大チョンボをやって後が続かず、ギブアップしたこともある、と美女の一人が教えてくれた。
“どんな?”
“「・・・我々の前には巨大な任務(ニンム)が横たわっています。・・・」というべきのを、「巨大なニンプ(妊婦)」とやっちゃったの。”(爆笑)

“ところでなぜ男は少ないの?”
“男には無理。考えちゃうから。”
つまり同時通訳者は、話の内容を考えずに、ただ言葉を置き換えていかなければ追っつていけないからだという。
“殿方は理屈が大事でしょ。”
と云って美女の一人は謎めいたウィンクをした。
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by n_shioya | 2009-04-28 23:06 | コーヒーブレーク | Comments(6)
学会とは
形成外科学会は終わったが、学会シーズンは5月6月とまだまだ続く。
なんでそんなに学会があるんですかといぶかる人も多い。
又、一体年に何回ぐらい学会に出られるのですか、と聞かれることもある。
それほど学会の数は多い。

必須なのは自分の専門分野の学会である。だが、そのほかに関連分野の学会がいくつもぶら下がっている。
僕の場合はメインは日本形成外科学会だが、そのほか関連学会として、
日本美容外科学会、日本創傷治癒学会、日本抗加齢医学会、日本再生医療学会、日本じょくそう学会等々、日本とつくものだけでも10指に余る。

そしてまたそれぞれがその下部組織として、それぞれの地域に地方会を展開する。
東京地方会、関東地方会などと。

又学会は日本だけではない。世界各国がそれぞれの専門分野の学会を持っており、ことに最先端の研究はアメリカで発表されることが多いので、欠かすことができない。

それに加えて、世界規模の「国際学会」と称するものがある。これはどちらかというとお祭りと観光が目的だが、世界各国の友人を交流できる重要な場である。

老年にに入った僕としては、せいぜい二つか三つに絞りたいところだが、回数は減っても昔以上に学会が楽しみである。
というのは学会は学術交流の場の筈だが、大学の現職の時は、やれ次に会長は誰にするとか、あの大学の次期教授はなど、夜のバーにふさわしい生臭い論議に巻き込まれることが多かったが、定年になってから初めて純粋に学問的な発表を楽しめるようになったからである。
又、新しい分野の展開を追っかけるのも面白いが、いろいろな分野の話題を結びつけて、自分なりのシナリオを展開することができるのも年の甲と言えるかも知れない。

というわけで学会と聞くとのこのこ出掛けては、年甲斐もなく昔にもまして頓珍漢な質問を浴びせては、大方の顰蹙を買っている。

ところで学会の数が増え続ける本当の理由としては「会長になりたい人の数だけ学会は増える」という誰かさんの法則を挙げておこう。
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by n_shioya | 2009-04-27 21:55 | 医療全般 | Comments(8)
美の饗宴
日本にこれほどの名画があるとは知らなかった。
又、これほど全国に美術館が存在することも。
昨日から始まった「日本の美術館名品展」を見て圧倒されて帰ってきた。
会場は上野の東京都美術館である。

考えてみればそれぞれの美術館が、その眼玉作品を差し出しているわけだから、当然と云えば当然だが、これを全部見るためには日本中を行脚しなければならないから、実に有難い企画である。

だが全部で220点。その半分も見ないでへとへとになってギブアップ。全部を鑑賞するには、あと2回ぐらいは通う必要があるだろう。

大半は馴染みの日本の作家だが、60点ほど欧米のものがある。これもおもに親しみやすい印象派とエコール・ド・パリだ。そのなかには初めての作家もあり、またミレーやセガンティーニなどは、今まで見たことのなかった初期の作品が印象深かった。

七月初めまで展示は続くので、ぜひ皆さんご覧ください。
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by n_shioya | 2009-04-26 22:35 | 美について | Comments(8)
学会を終えて
無事昨日で学会が終わり、今日は皆T-85の集まりに出かけたはず。
T-85というといかにも専門の研究会のように響くが、実はゴルフのコンペ
学会終了の次の日はゴルフ大会と決まっている。

形成外科医にはゴルフ狂いが多く、ゴルフを嗜まなければ人にあらず、の感がある。学会はゴルフコンペのだしに使われているのではないかと、いまだにゴルフをスタートできない僕はひがむほどだ。
だが今日は朝から荒れ模様。これでも気ちがいどもはずぶぬれになって、喜々として地球を叩いているのだろうか。

学会は学問の場であるべきだが、それは人間のやること、ゴルフ同様に大事なのは懇親会である。
会長がいろいろと趣向を凝らすことは、数日前ブログで報告したとおり。

懇親会と云えば、昔京都で大失敗をしたことがある。
京都と云えば会長招宴は祇園
一見様お断りという名門のお茶屋で、舞妓や芸子衆に勧められるまま、飲めぬ酒を呷って、今話題の「ブラックアウト」になってしまったらしい。
朝目が覚めると、都ホテルのベッドの上に自分を発見した。

一週間後、会長から封書が自宅に送られてきた。
何気なく配偶者の前で開封すると、挨拶状とともにフォトが出てきた。すると大判の写真には舞妓さんの膝枕で熟睡している吾輩が写っているではないか。
かねがね学会というものをあやしく思っていた配偶者はキッパリ宣言した。
“これからは私も学会にお供します。”
かくして日本の学会でもレディスプログラムが組まれるようになり、アメリカ並みに夫婦同伴が常識となってしまったのである。
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by n_shioya | 2009-04-25 23:13 | コーヒーブレーク | Comments(6)
傷を早くきれいに治す
今日は傷を早くキレイに治す薬の話。

傷を治すのは本人が持つ、自然の治癒能力で、我々医者にできることは最低、その邪魔をしないことで、それを助けるのが湿潤療法であり、キズパワーパッドはそのために家庭用に開発された、創傷被覆材であるとは繰り返し述べてきた。

ではもっと積極的に傷を早くキレイに治す薬剤はないか。
傷を治す細胞やそれが分泌する化学物質、成長因子と呼んでいるが、それをもっと与えればいいのではないか。
細胞を増やすのは「再生医療」の世界で、これからの発展が期待される分野だが、とりあえずは「成長因子」をバイオで大量生産することはここ20年ほどの研究課題だった。
その走りが今日の学会のランチョンセミナーで話題となった、フィブラストである。

フィブラストの成分であるbFGFを大腸菌を使って造り出したのは、アメリカのカルバイオというベンチャーだが、治験に成功し商品化に持って行けたのはその特許を買った日本の科研製薬である。

皮肉なことにアメリカでは治験が通らなかった。
実はこの物質には効果を発揮する適正濃度の山があり、日本では運よくそのピークの濃度を選んだが、アメリカではその倍の濃度を使用したため、却って効果が出にくかったということがあとでわかった。
アメリカでこの開発にあたった友人のマーティン・ロブソン教授は、いまだに会うたびにそのことを悔しがっている。

b0084241_2214221.jpgランチョン・セミナーでは産業大学の安田準教授と、長崎大学の秋田講師がそれぞれのお立場から、フィブラストのありがたさを提示してくださった。
ちなみに秋田講師は、3年先の「第4回世界創傷治癒学会」の事務局長を務める、若手の形成外科のホープの一人である。

ここまで読まれると、それならその「成長因子」とやらを、化粧品の成分に加えたらと考えられるかもしれないが、すでにある種の「成長因子」でそのような試みは始まっている。
ただ、一般論としては化粧品レベルの濃度ではあまり効果が期待できず、濃度を上げれば医薬品となり、コストの面や副作用など、いろいろ問題を生ずるので、そう簡単な問題ではない。
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by n_shioya | 2009-04-24 22:33 | キズのケア | Comments(3)
新製品の数々
学会の魅力の一つは企業展示である。

何百という関連企業各社が、大ホールの展示ブースに主力製品の数々を展示し、デモンストレーションを行うので、下手な学会発表よりも、最新情報がつかみやすいと言ったら先生方に失礼だろうか。

それ以上に魅力的なのは、展示に華を添える、企業から差し向けられた女刺客というか美女軍団である。
その一部を御紹介すると、

まずはコンバテック。創傷被覆材メーカーで、主力製品は制菌作用を持つアクァセルAG.
そしてキズパワーパッドでおなじみの、ジョンソン・エンド・ジョンソン。紫外線除けクリームのロックも同社の主力製品の一つである。
その次はレーザーのリーディングカンパニー、J-mec。レーザー照射後の化粧品も人気商品で、美女たちが白いユニフォームをまとって、その肌に優しいクリームをアピールしていた。
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その他の企業については明日またご紹介する。
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by n_shioya | 2009-04-23 22:12 | 医療全般 | Comments(4)
直伝・本田流ものづくり
b0084241_1871712.jpg学会第一日、最も印象に残ったのが「カーデザイン」のお話だと言ったら意外だろうか。
本田のチーフデザイナー岩倉信弥氏の特別講演「直伝・本田流ものづくり」である。
ホンダの創業者・本田宗一郎に、ホンダの中で一番多く叱られたと自負されるだけあって、そのお話は実に学ぶべきところが多かった。

考えてみると、カー・デザインも、形成外科のデザインも、根本では同じであえる。
演者の言葉を借りれば、“形に心を込める”に尽きる。
患者のためにそれほど心血を注いで、形を仕上げてきただろうか、僕は我が身を省みて、忸怩たるものがあった。
だが、これからでも遅くはない。

氏はこうも言われた。
想うこと」。
「想なくして創なし」というのが岩倉氏の言いたかったことのすべてを表している。
アンチエイジング・ネットワークのモットー、「未来を予測する最も確実な方法は、自分で作り出すことである」に通じる精神であると、大いに共鳴した。
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by n_shioya | 2009-04-22 22:53 | 医療全般 | Comments(4)
学会シーズン
今日から第52回日本形成外科学会が始まった。
会長は東邦大学の丸山教授。洒落男で、別名「形成外科のヴェルサーチ」。
場所はみなとみらいのパシフィコ
今日から金曜の夜まで。

まずは朝8時から朝食会を兼ねての「第4回世界創傷治癒学会」の運営会議。
老いの身に早朝の会議はつらい。
これは前にも報告したが、2000年にオーストラリアで始まり、パリ、トロントとオリンピックのように4年ごとに開催され、去年のトロントの学会で、2012年の第4回開催地を日本に誘致することになったのに成功したのだ。
4年ごとの開催ということも、その誘致合戦も、規模こそ違えオリンピックと似たところがある。

以前、「オリンピックの黒い霧」という、金もうけ主義のオリンピック委員会の内幕を暴露した本を読み、選手たちを食い物にするオリンピックにうんざりさせられ、以来オリンピック嫌いになってしまったが、幸か不幸か学会は収益事業ではありえず、むしろいかに赤字を出さないようにするか、委員一同、三時間にわたり鳩首会談を続けた。

そのあとは理事会、評議員会と続き、夜は恒例の会長招宴
フルコースのディナーの後、清水ミツコというタレントの物まね弾き語りが、やんやの喝采を博した。
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明日からが学問の本番である。
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by n_shioya | 2009-04-21 22:04 | 医療全般 | Comments(12)




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