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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
助教授の透析
ブログを書き始めてもう4年近くになる。
よく毎日書くことがありますね、といわれることがあるが、ことは反対である。
どういうわけか書き記したいことは後から後からと湧き出てくる。
困るのはどうしても今日はこれを書かねば、と囚われてしまうことがあるのだ。
それを済まさぬと次に進めない、頭が働かなくなるのである。たとえその記述が当事者には迷惑であっても。
今回もその一つかも知れない。

昨日京都を日帰りで往復した。
伏見の病院に入院している北里時代の助教授を見舞ってきたのである。
僕の教授としての23年間のほとんどを、彼は助教授として支えてくれた。
形成外科医には珍しく、バランスのとれた頼りがいのある奴で、ユーモアにも富んでいた。
本人はある時点で開業を望んでいたが、僕は無理に引きとどめた。
助教授を5年やると気が狂う、といいますよ。”と苦笑いしながら引き受けてくれた。
それほど助教授の仕事は辛いし不条理に満ちている。

まず、女房役である。教授に言えない医局員の悩みを受け止める役である。
そして教授の尻拭い。ことに僕のような日本の医局のしきたりをわきまえぬ、しかもずさんな男には、彼は不可欠だった。
そして汚れ役。これはあまり深入りしないほうが良い部分である。

しかも彼は腎不全で、週三回の完全透析を受けていた。
彼は絶対弱音を吐かない。
おかげで僕は随分と彼に無理を強いてしまった。
透析が長引くといろいろな故障、いわゆる後遺症が発生する。
一番は骨粗しょう症である。そのため彼は何度か手術を受け、数年前はついに東京の医者たちに見放され、京都の名医を頼って手術を受け成功した。
今回、またその同じ部位の補強手術が必要となり、伏見の病院で同じ名医の手術を受けたのである。

昨日見舞ったときはもうずいぶん元気そうだった。
奥様も彼同様、物事に拘泥しない、明るい方である。
“この人は死んだふりをするのがうまくて、今度も騙されましたわ。”と本人を前にしておっしゃるくらい、当人も回復していたので僕もほっとした。
あとは彼の一日も早い回復を祈るばかりである。
by n_shioya | 2008-12-27 21:21 | 医療全般 | Comments(6)
Commented at 2008-12-28 01:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by n_shioya at 2008-12-28 09:14
vicoprofenさん:
こちらこそ来年もよろしく。
ではよいお年を!
Commented by hisako-baaba at 2008-12-28 16:07
京都のご病人の早い回復を、お祈りいたします。
来年は良い年でありますように。

『あの戦争は何だったのか』について、勝手に塩谷先生のブログを引用してしまいました。事後報告ですみません。
Commented by Doc.K at 2008-12-28 19:44 x
彼の頑健な精神力を本当に敬服しており(この34年間ずっと)、奥様の健気さ、明るさに心打たれて来ました。彼の復帰を心から祈ってます。
昨日J 医大の理事でお家でpartyがありました。先生のお嬢様の中・高の同級生のO先生(形成外科、旧姓はN先生)も来てました。大森先生への話しかけ方法を伝授しておきました(N先生も学生時代はスキー部)。
色々な抱負があることとお察しいたしますが、どうか良いお年をお迎えください!! 私も Don't be lazy で頑張ります  (が、自信はないのです)。

Commented by n_shioya at 2008-12-28 21:31
hisako-baabaさん:
こちらも勝手にリンクを張らせていただきました。
楽しいサイトですね。
Commented by n_shioya at 2008-12-28 21:34
Doc.K さん:
透析を始めたころ、5年は保証しますが、と言われた先生のお言葉を今でも覚えてます。
彼の今あるのも先生のおかげです。
また、彼の我慢強さには頭が下がります。


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