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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
培養皮膚ジェイス
20数年前、培養皮膚という新しい手法で、ボストンで体表98%という全身やけどの少年が救われたというニュースを覚えてられる方もあるだろう。
具体的には患者から切手大の皮膚を採取し、3週間ほど体外で促成培養をすると体全身を覆うほどの表皮シートが作成できる。

今年の二月、この治療法がやっとわが国でも保険適用になったことは、重症熱傷の患者にとっては、まことに朗報であった。
今日の学会で、これを手がけたJ-tecという会社から培養皮膚シートが「ジェイス」という名前で提供出来ることになるまでの経緯の説明があった。

朗報ではあるが問題は山積している。
まず、経費の問題。培養には莫大な費用がかかるので、一人当たり提供出来るシートの数には制限がある。
また、培養中に患者が死亡すると制作費の請求ができない。しかも現実にこの方法を必要とする患者は、元来が死亡率が高い重症患者である。
又、やけどの創面は決してきれいでないので、培養皮膚の生着率は必ずしも良くない。
等々である。

この培養皮膚の技術は、今は熱傷がターゲットであるが、他の問題にも適用可能である。
たとえば傷跡の修正
やけどや事故の後のひきつれなどに、従来の植皮だとそれに相当する面積の本人の皮膚を必要とし、同じ面積の傷痕を他の部分に作ることになるが、この方法なら、目立たぬところからわずかの皮膚を採取するだけで十分である。
まだ、まだ費用の点と仕上がりの点で、美容目的には実用的とは言えないが、いずれ再生医療の進歩で、これも可能となるだろう。

再生医療による細胞の操作で、本人の皮膚細胞を採取して、何らかの操作で細胞を若返らせ、本人の皮膚を張り替えるということもまんざら夢ではない。

医学は確実に進歩していく。
だが、それとともに医療費も増加することも間違いない。
このディレンマをどう解決するか。
病気以前の未病の段階で、体質改善を試みる、つまりアンチエイジング・メディシンもその一つの答えだと僕は言いたい。
by n_shioya | 2009-06-04 22:06 | キズのケア | Comments(6)
Commented by ruhiginoue at 2009-06-05 02:54
 そうなるとスポンサーが必要で、それはやはり政府の軍事部署ないし軍事関連企業ということになりますか。
Commented by Hope at 2009-06-06 00:05 x
今までのやり方では駄目でしょうね
「マメにガーゼを取り換える」から「取り換えずにカクテルを大事に」と
180度変わった傷のケアと同じくらい、明らかな発想の転換が必要でしょうね
開発費用の調達も含めて
Commented by n_shioya at 2009-06-06 23:27
ruhiginoueさん:
日本の場合はまだ軍にはつながってこないと思いますが。
いずれにせよ、限られたパイの配分と考えるか、別の発想が必要なのか悩ましいところでしょう。
Commented by n_shioya at 2009-06-06 23:29
Hope さん:
発想の転換には、医療とはそもそも何かまで戻る必要があるかもしれません。
その点、現状には合わない面があるにせよ、ヒポクラテスの誓いは軸になると思います。
Commented by ネコ七 at 2009-11-29 21:01 x
はじめまして。ネコ七と申します。

韓国の射撃場火災で死亡した患者の遺体引き渡しで1千万請求された事象について調べていたらこちらにたどり着きました。

お亡くなりになった中尾さん、原田さんは体表面積の90%以上のやけどを負っていたと新聞記事で読みましたが、このような治療の場合、韓国の病院側から請求された1千万~1千5百万という金額は妥当なのでしょうか。

いろいろ調べてみて、北海道の病院で全身やけどのロシアの少年を3ヶ月間治療して1千3百万かかったという記事はありましたが、2週間程度の治療で1千万以上かかったという記事は見つけられませんでした。

お手数をおかけしますが、ご教示いただけたら幸いです。
Commented by n_shioya at 2009-11-29 23:03
ネコ七さん:
その事件は知らないので、もう少し状況がわからないと判断しにくいのですが。


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