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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
冬の旅
「死とはモーツァルトが聴けなくなること」というアインシュタインの言葉は先日引用したばかりであるが、死後の世界を信ずる僕の場合はこうなるだろう。
「死とはシューベルトが絶えず響いている世界である。」
久しぶりに「冬の旅」を聴き終えてそう思った。

五味康祐は「自分はその人が青春をベートーベンの第五で過ごしたか、モーツァルトのト短調で過ごしたかで区分けする」と書いていた。
その点では僕は人を「冬の旅」と生きてきたかどうかで区別すると言いたい。
ベートーベンの深刻さにはお付き合いにも限度を感じ、かといって甘美なモーツァルトに無条件で酔うこともできなかった僕にとって、シューベルトはいつも心の友であった。

60年も前の話である。すべての音楽は78回転のSPレコードで齎された。シューベルトの歌曲は、ゲルハルト・ヒュッシュの独壇場だった。「冬の旅」「美しき水車小屋の娘」そして「白鳥の歌」の三大歌曲集。そして「水の上に歌える」「紬むグレーチェン」はソプラノのエレナ・ゲルハルト。そう、不世出のコントラアルトのマリアン・アンダーソンの「死と少女」、これは最後のシュラーフェンのフェンをオリジナルの低さで歌いきっていた。

戦後間もなくヒュッシュが初来日した時の熱狂ぶりはすごかった。夢中で席取りに駆け走り、眼鏡を落として自分で踏みつけてしまったのも懐かしい思い出である。
その後、フィッシャー・ディスカウ、ハンス・ホッター、ペーター・シュライヤーなどの名バリトン、名テナーが続々と来日しファンを楽しませてくれるようになった。

戦前の名画「未完成交響曲」も忘れてはならない。
旧制高校時代、ドイツ語勉強と称して、新宿にあった日活名画座に弁当もちで籠り、朝から繰り返し見続けたものである。
シューベルトの失恋の相手の女優はマルタ・エゲルトと言ったと思う。
フィナーレにアベ・マリアの伴奏で映された、田舎の道の傍らのマリア像が印象的だった。

ところで今日聴いていたのはフィッシャー・ディスカウで伴奏はブレンデル
伴奏というより二重奏と言えるすばらしいコンビである。

by n_shioya | 2009-07-10 22:38 | 美について | Comments(5)
Commented by 御隠居@横町 at 2009-07-10 22:45 x
私もシューベルトは好きです。
あまり注目されないけど、ピアノソナタもいいと思う。誰が弾いてもいいけど、やっぱり、一番好きなのはブレンデルですね。
Commented by valkyries at 2009-07-11 10:42 x
先生、私の持っているCDはフィッシャー・ディースカウにイェルク・デムスの伴奏です。今回のブログに触発されて聴き直してみましたが、やはり12月の厳冬の、刺すような空気のなかが相応しいと思いました。
ちなみに今日の京都は祇園祭の「鉾立て(ほこたて)」の日、1年で一番蒸し暑い時期です。
Commented by n_shioya at 2009-07-11 22:07
御隠居@横町さん:
元来はピアノ曲ではないが、アルペジォーネ・ソナタもいいですね。
Commented by n_shioya at 2009-07-11 22:12
valkyriesさん:
次回お会いする時はシューベルトを語り合いましょう。
Commented at 2009-07-12 11:23 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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