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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
明日はいよいよ、アンチエイジングセミナー2009である。
今朝から雨模様で、このままだと明日の集まり具合が心配になる。 文字通り“運は天に任せて”、開会のご挨拶で何を言うべきか、一日中悩んでいた。 結局は以下のように思っているママをぶつけることとした。 『なぜ今「見た目のアンチエイジング」か? 今日は皆さんとこの問題を考えてみたいと思います。 ここにNPOアンチエイジングネットワークで行ったアンケート調査の結果があります。 ご自身のアンチエイジングに関する悩みは主に何ですか? という問いに対し、数の多い順で ①顔の老化 ②体型の変化 ③髪の老化 と続きます。 男女に差はありますが、この三つが七割を占めています。 そこで今日はその三点に焦点を当て、それぞれの専門家にお話しいただきます。 いまだに「アンチエイジング」というと、なにか胡散臭いと考えられている方も多いようです。 それが、「見た目」となると、“一体それなんじゃ、医者にもあるまじき、”などとの非難も受けました。 これまで私は形成外科医として病気により損なわれた容貌、体型の復元に関わり、更には正常だがさらに美しくという要望にこたえる美容外科も、その延長線上において努力してきました。 ここですぐに出る議論は、“人は形より心じゃ、”という主張です。 本当でしょうか? この彫刻をご覧ください。 皆さまよく御承知のミケランジェロのピエタです。 バチカンでご覧になった方も多いでしょう。 でも、よく見ると何かおかしいと思いませんか? 非常に写実的な優れた作品です。 だが、キリストは30歳で布教を始め、三年後、磔にあったとされています。 だからこれは33歳の像ですね。 その母マリアは? どう見ても二十歳の乙女としか見えません。 いくら処女懐胎と言ってもこれはないでしょう。 わたしがそう言うと、“だから医者は無粋だ、これは造形の要諦ではないか?”とすぐ言われます。 私に言わせるとそれが問題なのです。 “形より心”と説き続ける精神の王国バチカンでさえ、尊崇の的であるマリアは容貌も美しくなければならない、そして女性の美は若さで象徴される。 これが我々、老いて死んでいく者の本音なのではないでしょうか。 その悩みに安全に効果的に対処して、女性のコンプレックスの解決の一助と出来るなら、それも許されていいのではないでしょうか。 実のところ私自身は、そう自分に言い聞かせながら、この分野に取り組んできました。 だが、まだ本当に納得していないことも確かです。 また、そうなると“美しく老いる”ということは矛盾ではないか、という疑問も頭をもたげてきます。 これは皆さんご存知の方ですね。 僕の悩みは、もしマザーが来られて、しわ伸ばしの手術をと言われたらどうだろうということでした。 “そんなことはあり得ない”そう言われることでしょう。ぼくもそう思います。だが、そう思うこと自体、僕自身、“形より心”と言う価値判断を抱えていることの証でもあります。 ならばやはり“美しく老いる”と言うことも可能はずだと。 結論を言いましょう。 本来、「心と体」は一つであるべきものです。なにも対立させて考えることはありません。 各々が自分の現在の価値観に元づき、どちらを優先させても片方も付いてくるものではないでしょうか。 ですから今日、これからお三方の話を聞かれ、まず、形から入って「見た目」の若返りをはかり、その結果心も若返って、その内面からの輝きが、更に皆さまの「見た目の美しさ」を支えるようになれば、このセミナーの意義も十分果たせたことになるでしょう。 どうぞご期待ください。』 如何でしょうか?
by n_shioya
| 2009-10-24 22:48
| アンチエイジング
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Comments(5)
Commented
at 2009-10-25 07:49
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
HOPE
at 2009-10-25 08:33
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批判承知で女性の立場から言うならば、世の男性はもちろん女性までもが
相手の「見た目の美しさ」で明らかに扱い、態度が違います。 男性ならば美しい人に「露骨に優しい」か、 『その手には乗らん』と言わんばかりに「冷たい」「意地悪い」こと。 女性ならば「崇拝」するかのようにすりよるか、 『見た目だけよ』と「バイアス」をかける。 “本当に”美しい人ほど、なかなか中身を見てもらえない苦しさを知っているだけに 内面を磨き悩み、「自分を見失わない」「好きでいる」努力をしている気がします。 そして「相手が何を見る人かを見抜く目」を鍛えている。 若さで輝く美しさがいずれ消える恐怖、その時に離れて行く人や憐れみの目線までが 想像つくのではないでしょうか。 マザーテレサの美しさは誰もが認めるところでしょう? 内面、生き様がここまで滲み出るものかと。 目指すべきは「そこへの移行」であって、そのプロセスに医師が関わることはとても重要と感じています。 さもないと医師免許だけを持つ外見変造屋がますます横行しそうでコワイです。
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n_shioya at 2009-10-25 09:04
HOPE さん:
まさにそのことが言いたかったのです、しかもメインのお三方のお話に水を差すようなことなく。
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icelandia at 2009-10-25 11:51
羽織袴を期待してよろしいのでしょうか?どちらにしても、楽しみにしています!
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n_shioya at 2009-10-25 22:56
icelandiaさん:
僕も楽しみにしています。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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