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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
生き甲斐について
まだ横浜市大で教えてた頃だから、40年前のことだろうか。
卒業を間近に控えた医学部の学生が、部屋に訪ねてきた。
卒業式でスピーチをすることになっていて御相談したいという。
彼が言うには「生きがいについて」という題で話すことになっているのだが、何をしゃべればいいか困惑しているという。

僕は仰天もし、がっくりもした。
この男、もう大学を出て明日からは社会人になろうと言うのに、今まで何を考えて生きてきたのか?
我々の頃は旧制高校というのがあって、学業は二の次で三年間、“己とは何ぞや”とか“生きがいとは”といった問題を議論し続けたものだった。
答えはコンビニでは売ってなかった、とでも言いたいのか。

だが、考えると、そういう疑問を持ってくれただけでも良しとせねばならぬのが、今の子供だろう。
僕は熱海の老人ホームに隠居した親父の話をした。

それまでは毎日が超多忙な内科医だった。84歳でやっと仕事を離れ、熱海に移り住み、好きなゴルフ三昧の生活に満足していたが、半年ほどすると落ち込んでしまった。
ゴルフは楽しいが、“今のおれはなにも人の役に立ってない、生きてる価値が無い人間だ”というのである。
その後、なんかのきっかけで、最長老ということでマンションの居住者の集まりの世話役を頼まれ、それが成功したのか、見違えるように元気を取り戻した。
それからは自分の健康法を著書にし、全国を講演して回るようになった、と。

その時僕が感じたのは、「生きがい」とは「人に必要とされること」である。いや、錯覚でもいいから、人の役にたってると思えることだと、くだんの学生に言い聞かせた。
そして、これを参考にしたまえと神谷美恵子の名著「生きがいについて」を手渡したのを覚えている。
今考えるに、あの著作は「生きがい」に関する学問的な論述であり、彼女の深い洞察がどこまで彼の役に立ったのか、知りたい気もする。

その後、改めて自分なりに考察を加え、「心の平和」、「生きる喜び」、「他者への愛情」など、「生きがい」を支える様々な要素に気づかされたが、「人から必要とされる」ことこそ、「生きがい」の大黒柱だとますます思うようになり、今に至っている。
by n_shioya | 2010-01-03 20:43 | QOL | Comments(5)
Commented by HOPE at 2010-01-03 23:09 x
生きがいについて…など考えていたら「ダサい」「イケてない」「キモい」「ヤバい」
と、この何十年も様々な言葉を浴びせられる世の中だったと思います
軽薄であることの方がカッコイイかのように…
更にカッコイイのは見えないよう努力して出し抜くこと…
出し抜けた人間だけが「努力について堂々と語れる」のも…
「美学」なんて言葉がよく使われていましたが、それは「美学」とは対極にあって、Surviveの技術でしかない
それが現実で、もう中年という年頃にとうに入っているのに「自分さがし」
そんな人がどれくらいさまよっているか…
それを思えば先生がご指導なさった学生さんは「早くに考える機会を得て幸運」 だったと思います
泥臭さも美学も避けてさまようよりは…「聞くは一時の恥」を取れただけでも良いのかな、と。
Commented by HOPE at 2010-01-03 23:20 x
追伸:
「必要とされること」こそ「生きがい」
…この点大賛成です
Commented by あやめ at 2010-01-04 16:04 x
毎日コメント書いてスミマセン…
Sir William Osler も「人に必要とされる仕事につけるというほど 幸せなことはない。それが究極の幸福だ…」と 看護学校の卒業式で講演したのを本で読みました。今日の先生のブログでそれを思い浮かべました。
Commented by あやめ at 2010-01-04 16:13 x
あっ! 一番大切なことを 書き忘れました!

I need you~~!! ; )
Commented by n_shioya at 2010-01-05 08:19
HOPEさん
必要が来なければ、こちらから探しに行きましょう。


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