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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
先日の白澤先生の講演で教わったことの中で、さっそく実行に移し早くも実効が現れたことがある。
それは“30回噛め”ということだ。 消化もいいし、歯も鍛えられ、唾液にはホルモンも含まれ、噛むことで脳も活性化する、といいことづくめのようである。 僕は食うのが早い、とみんなに言われていたから確かだろう。事実、みんながまだ半分ぐらいでもたもたしている時、こちらの皿はきれいに空っぽになっている。 ローストビーフなど、グレーヴィをボーイがサーブに回ってくる頃には、すでに肉が消えているということは珍しくない。 昔僕の秘書のお嬢さんに、“先生の秘書になってから、仲間より食べるのが早くなってみっともなくて”と嘆かれたたが、気をつけて見ていると、なんじゃない僕より早く食べ終わるので、何も僕のせいではなかったようだ。 だから」懐石料理」は苦手であった。 チマチマと運ばれる小皿は、一口で消えてしまう。僕はあまり飲めないので、次が来るまで間が持たない。 味わいなんぞあったものではない。だから僕は懐石料理を“やらずぶったくり”と呼んで軽蔑していた。丼物のほうがはるかに食った気がする。 ところがである。一昨日、円覚寺の法事の後、門前の料亭口悦で法会の膳をいただいた時、10日前の白澤講演以来続けていた30回の咀嚼を実行したところ、噛むほどに味が出て、目からうろこが落ちる思いだった。 前にも書いたように、風変わりな親父の信念で、子供時代は「玄米菜食」という過酷な食生活を強いられた。 しかも百回噛めという。食べた物は飲み込むのではなく、自然に口から喉へ液状になって流れ込むまで噛み続けろという。 これは食事というより修行である。 成人して外科の世界に入り込むと、食事は手術の合間に、寸秒を惜しんで飲み込むことが習いとなった。噛んでいたら仕事にならない。 “それで味がわかるの?”と言う配偶者の不満には、“凝縮された密度の濃い味わいをしてるのじゃ”と答えてきた。 それが間違いだということが今頃になってわかったのはお恥ずかしい次第だ。 よく親父が言っていた。 “フランス料理は素材がお粗末だから味付けで誤魔化している。そして舌が騙されて、体に毒なものまで取り過ぎるようになる。食べ物は自然の素材をなるべく味付けを抑えて、よく噛むべきだ。” ぎらぎら脂ぎった色彩が余白なしに塗り込められた洋画と、日本画、それも墨絵の世界との違いのようなものかもしれぬ。 いささか遅きに失した感があるが、僕のアンチエイジング食生活もやっとスタートラインにつきましたよ、白澤先生。 ■
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by n_shioya
| 2010-03-08 22:48
| 食生活
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Comments(6)
先生、「出された物はすぐに食べる」が食事を美味しく食べるコツであり、且つ料理人を尊重する行為であることに間違いはありません。私も「早食い派」でして、これは男の特権ともいえるでしょう。草食系・女性的男子のはびこる世の中、先生にはぜひ橋頭堡として頑張ってほしいです、奥様の見ていないところで・・・。
私の知る限り、食事の早い方は仕事がおできになるのです。
残念ながら私は食べるのが遅いので有名。 早く食べなければいけない場面に遭遇すると、地獄です~。
valkyries さん:
やはりすぐ昔の癖で早食いになってしまうのでご安心ください。
けろっぴ さん:
昔の武士の心得は、“早飯、早糞”そしてあとはなんでしたっけ、“早死”にだったかな。 ![]()
わたしも早飯でして。やはり懐石より丼のほうが好きですね。
前に政治家の秘書と食事をしたら、ああいう職業、選挙運動であちこち動きながら食事することも多いので、たいていかなりの早飯なのだそうですが、わたしのほうがさらに早飯なので呆れてました。 唯一同じくらいの早飯だったのは、防衛大卒の元自衛官ですね。 武士以来の早飯早○芸の内です。
御隠居@横丁さん:
元自衛官はやはり武士の端くれ?ということですかね。
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![]() 塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日) 以前の記事
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