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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
「顔などに大きな傷跡が残った労災補償で、男性は女性より低い障害等級とする国の基準を違憲とした京都地裁判決について、10日、判決が確定した。厚労省が障害等級の見直しを表明し、同等級をモデルにするほかの省庁の保障制度もえ変更される可能性が高まった。」
と今朝の産経新聞は報じている。 顔に傷跡がある患者の治療にあたってきた者として、その苦しみに男女差があるわけがないといいたい。当然、男女平等の人権を保障している筈の健康に違反しているし、これまで戦後間もなくの労災の認定基準が放置されてきたこと自体、時代錯誤といえる。 しかも、労災以外の傷跡でも、例えば自動車事故の場合など、今まではこの基準が適用されてきたので、波及する効果は大きく、喜ばしいことだと思う。 さらに言えば、前世紀の始め、戦場での負傷による顔の変形の修復は、家族を支える立場の男にとっては、社会復帰の為に必要な外科である、という論理で、形成外科が認知されたいきさつを考えると、今までの労災の認定の差別化は、時代錯誤も甚だしいものだったといわざるを得ない。 ちなみに女性の容貌に対するこだわり治療目的とする美容外科が認知されたのは、それよりはるか後にアドラーが「コンプレックス」の概念を打ち出し、医療の対象として取り上げてからである。
by n_shioya
| 2010-06-11 23:04
| キズのケア
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Comments(2)
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ruhiginoue at 2010-06-12 06:05
戦傷についても誤解があって、歴戦の勇士の傷跡はかっこいいと思っている人がいますけど、「ランボーの身体の傷は左右対称だ」と皮肉られるように、現実の傷は醜いものです。
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n_shioya at 2010-06-12 22:39
ruhiginoue さん:
人の心の痛みを理解するところまでは、医者でも何とか到達しました。だが、それをおのれの痛みと感ずるには、まだ道のりがあります。
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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