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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
「クレアモントホテル」
「ロンドンの街角にある小さなホテル。そこで始まった年老いた未亡人と若者との心の交流」といわれても、それがなんで見ごたえのある映画になろうかと懐疑的だったが、是非と言う配偶者の切なる願いで、今日は「クレアモントホテル」を観るため岩波ホールまで出向いた。
「クレアモントホテル」_b0084241_21395534.jpg

そして?
予想をはるかに上回る素晴らしい映画だった。今年最後の締めくくりにふさわしい作品だった。
何よりも演技が楽しめる。
これだけの舞台俳優の厚い層は、やはりイギリスにしか望めないのではなかろうか。

そしてイギリス独特のユーモアとペーソス
これはディッケンス以来の英国の伝統と言える。
昔旧制高校の教師が、竹山道夫さんだったか、“英国文学は大人の文学ですよ。ドイツは青年の文学だが。”と言った時の大人老人というニュアンスを感じたのを思い出す。フランスはなんだったか?姦通の文学ではなかったと思うが。

そして映画は女主人公サラを通じて、人生の最終幕の生きざまを温かく示していた。
それは作中でも朗読されるワーヅワースの「水仙」を基調とするものであった。

“心うつろに、或いは物思いに沈みて、
われ長椅子に横たわるとき、
独り居(ひとりい)の喜びなる胸の内に、
水仙の花、しばしば、ひらめく。
わが心は喜びに満ちあふれ、
水仙とともに踊る。”(田部重治訳)

だが配偶者にとって最も印象深かったのは、
女主人公のセリフ、
「誰かの娘でも妻でも母でもなく、残りの人生は“私”として生きたい」
であったと言われ、ふつつか者の夫はひたすらキョウクするだけだった。
by n_shioya | 2010-12-28 21:51 | コーヒーブレーク | Comments(4)
Commented by 船長 at 2010-12-30 01:24 x
先生、先日の占星術ではありませんが、奥方は心底「大切な人」に与え続けていらしたことを完全に自覚し受け入れていらしたのでしょう
まったく恨みごとではなく、心から素直に吐露できるお相手がいらしてよかったとお感じなのでは…
人生締めくくり向かってはそうありたいと心から思います
Commented at 2010-12-30 01:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by Atsuko Saisho at 2011-01-03 23:51 x
原作の訳者です。映画も紹介したので喜んでいただいてとても嬉しいです! 奥さまにどうぞよろしく。
Commented by n_shioya at 2011-01-04 23:08
Atsuko Saisho さん:
早速読ませていただきます。
でも、いつも感じるのですが、翻訳という仕事は、ある意味で創作よりも大変でしょうね。本当にご苦労様です。これからも日本の読者のために名作と取り組んでください。


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