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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
「人間が壊れてしまったのだろうか、と思うしかないニューズが毎日報道される中で、人間の尊厳がどこにあるかを、きっちりとすっきりと考え直すことのできる、日常の旅の案内記」
と解説で小森陽一が述べている、井上ひさしの「ボローニヤ紀行」と読み終えた。 20年ほど前の夏。 スペインでの国際学会を終え、我々日本の形成外科医の一行はイタリアの旅に出た。 ベニスに二泊し、その後はバスでアペニン山脈を越え、フィレンツェにバスで移動する予定だった。 と、出発間際に“ボローニアに寄りましょう!”と言いだしたのは新潟大学の星君だった。 ボローニアには世界最古の大学がある。そして16世紀の初めにボローニア大学のタリアコッチ教授が、上腕から皮膚を移植して、決闘で失われた鼻を再建したのが、形成外科の始まりとされている。 “タリアコッチ教授に敬意を表せねば”というのはもっともなことである。 しかも、ボローニアはアペニン山脈のふもと、バスツァーのルート上にある。 ボローニアは古いレンガの町並みの魅力的な街であった。 大学町でもある。 其の擂り鉢状の木造の解剖学教室の正面にタリアコッチ像は、我々を見下ろすように安置されていた。 我々はボローニアでランチをとり、そのままフィレンツェに向かった。 だが、ランチだけで素通りするはあまりにも惜しい都市であることを、井上ひさしさんの御本で知った。 また、なぜ世界最古の大学がボローニアで生まれたか、そしてなぜ形成外科という革新的な外科が誕生したか、井上さんの御本は解き明かしてくれる。 井上さんとなれなれしく呼んだが、それほど面識があるわけではない。 講談社に勤めていた次女が、井上さんの担当をさせられ、数回お会いしただけである。 だが、それだけの出会いでも今でも心に残る方だった。 惜しい方を亡くしたものである。
by n_shioya
| 2011-05-02 18:46
| コーヒーブレーク
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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