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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
最近どういうわけかテレビの医学番組が急増している。
最も多いのは食べ物の番組だが、医学番組はそれを追っかけている感じだ。 最近の医学の発達は目覚ましく、我々医者でも専門外のことは意外にテレビで知ったりもする。 啓蒙という意味では随分役立っていると思うが、中には随分乱暴な危ない番組もある。 ま、すべてがワイドショウ化しているせいだろうか。 エンターテイメントと銘打ってる番組もあるようだが、これはもう論外である。 一つには、本の題でもそうだが、断定的か刺激的でないと視聴欲をそそらないからだ。 初めてとか、絶対とか、間違いだらけとか扇情的な表現が好まれる。 治る場合もあるでは、インパクトが弱いとなると、必ず治るとか、これですべてが解明されたと言いきる。だが本当はある一つの関連あるファクターが見つかったにすぎないことの方が多い。しかもまだ動物実験の段階にすぎないこともある。 視聴者は心してみる必要がある。 取材を受ける側にも、ある程度の心がまえが必要だ。 大体個々の取材に入るときは、あらすじというかシナリオはできあがっていて、個々の被取材者の言葉は、それに都合のよいものだけを拾っていく。 極端に言えば全体の文脈の中で、自分の意図が逆転させられていることが分かってももう手遅れということもある。 問題はそのシナリオ作りの段階で、適切な専門家が関わっているかどうかにもある。 だが、バランスの取れた意見だと面白みがないので、ともすると学会での問題児の発言にプロデューサーが引っかかってしまうこともある。 しかし、プロデューサーは手の内を明かしたがらないものだから、共犯者にされぬよう、細心の注意は必要だ。 僕は原則として取材を受ける際、 ①まず、取材なのかその下調べの段階なのかはっきりさせる。 ②また、ほかに誰を取材したか、またする予定か知らせてもらう。 ただこれはオーム事件以来、放送倫理コード上、難しい面もあるというが、オーム事件の大ポカと医療の取材とは、本質的に異なるはず。 ③上記が満たされれば、取材に応じることになる。そしていったん取材を受けた後は、その料理法についてはとやかく言わぬことにしている。 医者の言うことが、必ずしも患者の知りたいことに答えてない場合もあり、そのギャップを埋めるのは、プロデューサー方の役目であり、権利でもあるから。 というのが医療について取材を受ける場合の僕のおおよその原則だ。
by n_shioya
| 2011-09-18 22:07
| 医療全般
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Comments(2)
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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