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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。 |
先週の学会の最後のセッションは「形成外科の修練が美容外科にどう役立つか」といったテーマだったとおもう。
“え、形成外科と美容外科は同じじゃないの?”といわれる向きも多いかもしれないが、形成外科には火傷、怪我などの外傷、そして唇裂等の先天奇形の修復などを扱ういわゆる再建外科のほかに、今ひとつの軸として美容外科が含まれるのである。 その区別は、対象とする醜形の原因が病気であれば再建外科、正常ならば美容外科ということになる。 とは行っても、用いられる手法はまったく同一で、また目的も美であるので、美容と再建を無理に分けるのはナンセンスという考えもあるが。 例えば正常の鼻を高くすれば美容外科だが、怪我でつぶれた鼻を修復する際、もとの鼻が形がよくなかった場合、無理して元通りの鼻を作るより、よりその人の顔にあった美しい鼻を造ろうとするだろう。これでも定義上は美容外科でなく再建外科になる。 このような混乱が起こるのは、再建を復元と同義語に捉えるからであろう。 だから、例えば交通事故で顔のキズを修復して、“これ以上は今の形成外科の限界です”、と患者に告げて、“では、この先は美容整形ですか”と言われるとがっくり来てしまう。 つまり、美容か再建かは原因による区別なので、怪我によるキズの修復は、何をどうしようと、定義上、再建と呼ぶことになっているからだ。 再建と美容の線引きはともかくとして、原因が病気にある再建外科の患者に比べ、正常な肌にメスを入れられる美容外科の患者の方が、一般的に結果に対する期待度が高い、つまりより洗練された技術が要求される厳しい分野である。 したがって、美容外科は再建外科に熟知した専門医が行うべきで、素人の医師が安易に手を出すべきでないというのが、今回のセッションの結論のようであった。 わけの分からない議論に聞こえるかもしれないが、要は、マスコミであくどい宣伝をしている、「自称美容外科医」の罠に引っかからないようにということらしい。
by n_shioya
| 2012-04-17 22:49
| 美容外科
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Comments(1)
Commented
by
HOPE
at 2012-04-21 23:47
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やはりむずかしい問題ですね…
私にはややこしくて… 悩みが解決するかしないかじゃないかと思ってしまうのですが 悪徳医師は絶対解決にはならないですよね?
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塩谷信幸
1931年生まれ
東京大学医学部卒業 北里大学名誉教授 北里研究所病院形成外科・美容外科客員部長 AACクリニック銀座 名誉院長 NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長 見た目のアンチエイジング研究会代表世話人 東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバニー大学で外科を学ぶうちに形成外科に魅了される。数年の修業の後、外科および形成外科の専門医の資格を取得。 1964年に帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、1968年より横浜市立大学形成外科講師。1973年より北里大学形成外科教授。 1996年に定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事として、形成外科、美容外科の発展に尽力している。 現在は、北里研究所病院美容医学センター、AACクリニック銀座において診療・研究に従事している。 >>アンチエイジングネットワーク >>NPO法人創傷治癒センター >>医療崩壊 >> 過去のブログはこちら(2005年5月26日~2006年5月26日)
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