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NPO法人アンチエイジングネットワーク理事長が、『アンチエイジングな日々』を
軽快な筆致でつづります。 どうぞお気軽にコメントをお寄せください。
クレオパトラの鼻
「クレオパトラの鼻、それがもう少し低かったら、大地の全面は変わっていたろう」とはパスカルのパンセの中の有名なせりふである。
容貌のメッセージ性を追求するものに取っては、“たった一人の女性の容貌が世界を動かしうる”と言う有り難い箴言である。

以前、鼻について美の基準を探っていたとき、ふと思いついて、クレオパトラの肖像を探したことがある。そのときは、ルーブルにある貨幣のプロフィールが、現存する唯一のクレオパトラの面影だと教えられていた。
クレオパトラの鼻_b0084241_224177.jpgその後、東京国立博物館で開催された「ベルリンの至宝展」で、クレオパトラの頭部のブロンズを観る機会があった。
いささかぼやけた貨幣のプロフィールと違い、その彫像では、いかにも古代の王たちを手玉に取った、知的でしかも近代的ともいえる女性の顔貌が刻まれていた。

そして肝心の鼻は?
ふーむ、と僕は頭をかしげてしまった。
いささか大きすぎる。一寸削れば理想の美女になるのだが、というのが実感だった。

僕がこうまでクレオパトラの鼻にこだわるのは、欧米では高い鼻は忌み嫌われ、ふつう鼻の美容整形といえば、間違いなく低く小さくすることを意味するので、そもそもパスカルの論旨にいささか違和感を感じていたからである
しかもベルリン美術館のクレオパトラの彫像を見る限り、クレオパトラの鼻は美の基準から“大きく”外れている。
 
もっとも、パスカルはこの話を単に例えとして記述しているに過ぎない。詰まり、彼の論旨から言えば、鼻の高さがどちらに変わってもかまわない、要は「人間とは、またその存在が紡ぎ出す歴史とは、何か少しを変えてしまうだけで何もかもが変わってしまう。それほど、それらは絶対的指針を持たぬ流動的で儚いものなのだ」という思想を言葉にするために、『クレオパトラの鼻』を引き合いに出したにすぎないのだから。
by n_shioya | 2013-01-12 22:06 | 美について | Comments(2)
Commented by HOPE at 2013-01-13 09:20 x
ほほーぅ、確かに少々大きすぎますかね?
ま、ハナペチャ民族としては羨ましい限りですが…
昔友人が「シンクロナイズドスイミングの選手は鼻クリップをしてるから細く高くなるらしい」と大真面目に日常でクリップしようとしていたことが思い出されました
「たかが」が「大問題」になるのは実に人間ならではでしょうか?
Commented by n_shioya at 2013-01-19 21:46
HOPEさん:
本当の鼻ぺちゃだと、クリップが止まらないのが問題のようです。


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